不動産投資コラム

資格があると役に立つ?不動産投資に関する資格

2018/05/11
行政書士棚田 健大郎
資格があると役に立つ?不動産投資に関する資格

不動産投資は不動産というある種専門的な商品を扱うことになるため、できれば投資を始める前にある程度の知識は身につけておきたいものです。

特に不動産関連については、国家資格をはじめとするさまざまな「資格」があり、取得しておくことで不動産投資を有利に進めることができる場合もあります。

そこで今回は、不動産投資に役立つ「資格」に関するさまざまな情報について解説したいと思います。

不動産投資をする際に必要となる知識は、投資のテクニックというよりも、主に「不動産」の賃貸経営や賃貸管理に関連する知識です。

これらの知識に関連する資格を取得しておくと、不動産投資に大いに役立ちます。

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1.不動産投資に役立つ資格 宅地建物取引士

不動産に関する資格といえば、まず思い浮かぶのが「宅地建物取引士」、通称「宅建士」です。宅建は法律の入門資格とも言われるほど、不動産に限らず、民法の基本的な知識についても学ぶことができます。

難易度 普通
合格率 15%程度
学習に必要な期間 2~10ヶ月程度
試験方式 マークシート四肢択一式
試験日 毎年10月
実施団体 一般財団法人 不動産適正取引推進機構

宅建士は不動産売買や不動産賃貸を行う宅建業を営む場合、一定人数に応じて設置することが義務化されているため、不動産業に就職する場合には非常に重宝する資格です。
また、契約に先立って行う「重要事項説明」については、宅建士の独占業務になっているため、非常に需要な資格であると言えます。

不動産投資はまさに、不動産売買や不動産賃貸を行うことになるため、資格を取得しておくことで、実際に契約手続きを行う際に、思わぬ勘違いをしたり、騙されたりするリスクを回避することができます。

宅建士を取得すれば、自分自身で重要事項説明書を作成することができる程度の、十分な知識が身につくでしょう。

2.不動産投資に役立つ資格 管理業務主任者

不動産の取引を行う専門家が宅建士とするならば、マンションの管理を行う専門家が「管理業務主任者」です。いわゆる区分マンションの管理を行うマンション管理会社に設置が義務付けられている資格で、管理組合をサポートしながら適切にマンションを維持管理していく重要な役割を担っている資格です。

難易度 普通
合格率 20%程度
学習に必要な期間 2~10ヶ月程度
試験方式 マークシート四肢択一式
試験日 毎年12月
実施団体 一般社団法人 マンション管理業協会

宅建士に比べると比較的新しい資格で、2001年から国家資格として認定が開始しています。
サラリーマン投資家を中心に人気がある、ワンルームの区分マンション投資を考えている方は、マンション管理の専門知識が学べるため取得しておくと知識としてとても役立ちます。

管理組合の運営方法や会計管理のやり方など、区分マンションの管理組合の運営に必要な知識が一通り身につきますので、管理組合の理事長や役員をやってみたい人は是非取得することをおすすめします。

3.不動産投資に役立つ資格 マンション管理士

管理業務主任者はマンションを管理する「管理会社側」の専門資格であるのに対し、「マンションの管理組合側」の視点に立ってアドバイスをする資格が「マンション管理士」です。

マンションの管理人の資格と誤解されがちですが、実は難易度が高く、弁護士でも不動産を主に扱う場合は取得をする人もいるくらいです。
試験範囲はほぼ管理業務主任者と同じですが、難易度が若干マンション管理士の方が高い傾向にあります。

難易度 やや高い
合格率 8%程度
学習に必要な期間 4~10ヶ月程度
試験方式 マークシート四肢択一式
試験日 毎年11月
実施団体 公益財団法人 マンション管理センター

宅建士や管理業務主任者のように、独占業務はありませんが、管理組合からの相談に応じて適切なサポートやアドバイスを行う専門家であるため、知識レベルもマンション管理に必要な高度な内容が求められます。

マンションを維持管理していくためには、どのような修繕が必要になるのか、その際にはどのような規定を守らなければならないのかなど、本来不動産会社に聞いてしまいそうなことを自分自身で判断することができるようになるでしょう。

区分マンション投資の投資利回りは、管理組合の運営次第で決まってくる修繕積立金や管理費などの金額に大きく左右されます。
マンション管理士の資格を勉強すれば、これらの費用を低く抑えるための知識を身につけることができるでしょう。

また、マンション管理士は地域ごとにマンション管理士会が組織されており、加入すると最新の法改正情報など専門家でなければいち早く知ることができない情報についても、随時メールや郵便で知ることができます。

4.不動産投資に役立つ資格 賃貸不動産経営管理士

ここまでご紹介した3つの資格については、いずれも国家資格でしたが、賃貸不動産経営管理士は民間資格です。ただ、近年需要が高まっており、国家資格になるのではとの話が出始めているため、不動産関係者がこぞって取得に乗り出しています。

宅建ほどの法律知識は求められず、どちらかというと賃貸管理に関する知識の方が求められる感じで、専用のテキストで勉強すれば初心者でも十分合格できるレベルです。

難易度 やや簡単
合格率 推定40~50%程度
学習に必要な期間 2~3ヶ月程度
試験方式 マークシート四肢択一式
試験日 毎年11月
実施団体 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会

不動産投資をするということは、すなわち賃貸経営をしていくということでもあります。賃貸不動産経営管理士はその名の通り、賃貸経営に必要な法的知識を身につけることができる、不動産投資に活かせる資格です。

また、平成23年から国土交通省が賃貸住宅管理業の登録制度(現在は任意)をスタートさせており、その際の設置資格者としても活躍することができます。

不動産投資をしていく中で、管理会社に委託を検討する場合は、この資格の知識を持っていれば、管理会社がどのような仕事をしてくれるのかがわかるとともに、管理会社に落ち度があった場合もすぐに指摘することができるようになるでしょう。

5.不動産投資に役立つ資格 その他

これら以外にも、不動産投資に役立つ資格についてまとめてご紹介します。

敷金診断士

入居者が退去する際の敷金精算について学ぶことができます。賃貸経営において敷金精算はトラブルが多いため、予め知識を備えておくことで、敷金精算を有利に進めることができるでしょう。

ファイナンシャルプランニング技能士

自分自身でキャッシュフローをコントロールして、適切に賃貸経営を運営していくためには、お金に関する一定の知識は必要不可欠です。ファイナンシャルプランニング技能士は、金融に関する知識について、広く学ぶことができるためおすすめです。

シニアライフ・相続アドバイザー

不動産投資をする場合は、将来的な相続のことを合わせて考えていくことが大切です。相続に関する基本的な知識を身につけることができます。

簿記

扱う不動産が増えていくと、会計も複雑になっていきます。確定申告をスムーズに行うために、ある程度の簿記の知識はとても役立ちます。

これらの資格は、賃貸経営をしていく中で、必ず必要となる知識を学ぶことができるため、ぜひ取得を目指して勉強してみることをおすすめします。

6.不動産投資を相談すべき「資格者」とは

資格取得は知識を身につける上でとても重要ですが、それなりの時間と労力がかかるため、手っ取り早く専門家に相談したい、という方もいることでしょう。そんな時はどんな専門家に相談すると良いのでしょうか。

不動産投資について相談するなら、次のステップで複数の専門家の意見を参考にすることをおすすめします。

ステップ1.不動産会社のアドバイザー

まずは、気になる物件を扱っている不動産会社のアドバイザーに相談してみましょう。
実際に自分がその物件を買うことができるのか、買ったとして問題なく経営していくことができるのかなど、気になることは何でも相談しましょう。

不動産会社の多くは、投資家のアドバイスができる営業マンを育てていますので、ある程度のことなら十分相談できます。

ただし、あくまで営業的な要素が強いため、すべてを鵜呑みにするのではなくあくまで一つの意見として聞くことが大切です。

ステップ2:税理士・ファイナンシャルプランナー

不動産投資で成功するためにもっとも重要なことは「収支計画」です。
不動産投資は物件を購入した時点で、ほぼ成功か失敗かは確定しているため、購入する時点での今後の収支計画が適切であることが、成功の絶対条件となります。

とはいえ、初心者が適切な収支計画を立てることは難しいので、税理士やファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。不動産会社が作ってくれた不動産投資シミュレーションを持ち込んでチェックしてもらえば、およそ計画に無理があるかどうかは教えてくれるでしょう。

ステップ3:先輩の不動産投資家に相談する

最後に、すでに不動産投資で成功している投資家に意見を求めましょう。
なかなか知り合いに不動産投資家がいないという場合は、「セミナー」を活用すると良いでしょう。

インターネットで「不動産投資セミナー」などと検索すると、すでに成功している現役の不動産投資家が開催しているセミナーを調べることができます。
こういったイベントに積極的に参加することで、情報収集や人脈を作ることができます。

先輩の不動産投資家の意見はどんな専門家の意見よりもわかりやすく、失敗談なども聞けるため非常に参考になるでしょう。

まとめ:必要なのは「資格」よりも「知識」

いかがでしたでしょうか。

投資にも色々と種類がありますが、不動産投資については投資に関する知識以外にも「不動産」に関する専門知識が求められます。

不動産会社の営業マンの中には「すべてお任せいただければ大丈夫です」と安易なことを言う人もいますが、不動産投資をする以上は、ある程度の不動産に関する知識を持っておくべきです。

取引相手よりも不動産に関連する知識レベルが高ければ、自ずと取引自体も有利に進めることができると言っても過言ではありません。すべてを不動産会社任せにしてしまうのではなく、基本的な経営判断を自分ですることが、不動産投資で成功するためのポイントです。

今回ご紹介した資格は、どれも不動産投資をする上で魅力的な資格ですが、重要なことは資格そのものが大切なのではなく、資格を取得する上で学習する「知識」が非常に重要です。

ですから、忙しくて資格を取る時間がない場合は、時間があるときにテキストを見るだけでも効果があります。

不動産に関する知識は、そこまで難しくはなく、慣れてしまえばどんどん身につきますので、まずは自分の興味がわいた資格からちょっとずつ学習してみてはいかがでしょうか。

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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