ニュース

4月からビル用アルミ防火戸(サッシ)の価格2倍に

2020/02/16
インベストオンライン編集部
4月からビル用アルミ防火戸(サッシ)の価格2倍に

2019年4月1日から、国土交通省が示したビル用アルミ防火戸(以下:アルミサッシ)の運用変更に伴い、ビル用防火アルミサッシの価格がこれまでの2倍に跳ね上がります。

ビル・マンション一棟、区分マンションを持つ不動産投資家にどのような影響があるか、メーカー担当者に取材しました。

【1分で分かる!新築一棟投資の魅力とは?】東京圏・駅徒歩10分圏内の物件紹介はこちら

そもそもビル用アルミ防火戸とは?

―ビル用アルミ防火戸(サッシ)と、住宅用とは何が違うのでしょうか?

「高層の強い風にも耐えられる強度を持っていて、基本性能が高いのがビル用サッシの特徴です。
また、住宅用とはサッシの取り付け方が違います。木造などの住宅では大工さんが釘などで取り付けますが、ビル用サッシはサッシメーカーが周りの鉄骨やボルトに溶接で取り付ける必要がありますので、工事の段取りや工期も違いますね」

―運用の変更で影響があるのはどんな建物でしょうか?

防火地域、準防火地域のビルやマンションには、ビル用の防火サッシが使われているので、影響があると考えていいでしょう。
ただし、ビル用サッシといっても今回はアルミだけで、スチール・ステンレスの防火サッシは、運用の変更はありません。
また、地上から12m以下の高さのアパートや、木造住宅などには住宅用のサッシが使われていますが、こちらも今回の変更の影響はありません」

4月から国の定める運用が変わる

これまでは、一般社団法人 カーテンウォール・防火開口部協会が、通則的認定の取得や管理をとりまとめていました。
しかし、2019年4月1日からは各サッシメーカーが個別に大臣認定を取得する個別認定制度に変わります。

一般社団法人カーテンウォール・防火開口部協会/ビル防火戸に関する当協会が所管する認定の運用の停止について

―今後は、防火性能が満たされているかどうか各サッシメーカーが個別に認定を受ける運用に変わるということですが、具体的にはどう変わるのでしょうか?

「これまでの通則的認定では、国の指定する仕様を満たし、認可された工場で作っていれば、防火戸として認定します。という運用でした。
これからは、各メーカーが個別に国の指定した試験場にサッシを持ち込んで試験(外側と内側から20分間、火事を想定した炎を当てて耐えられるか)を受けます

「サイズ、枠、ガラスの種類によって、すべてひとつずつ認定をもらう必要があります。
型材が変わるものはすべてですので、1社だけでも、ものすごい数の試験を受けなければなりません。
しかも、国の指定した試験場は関東に2ヵ所、全国でも4ヵ所しかありませんので、各メーカーが何万通りもある試験の順番待ちでズラッと並んでいる状態ですね」

「ですので、現時点では、最低限のラインナップを出すのがやっと、というメーカーがほとんどではないでしょうか」

防火アルミサッシ価格が2倍になるワケ

―なぜ、価格が2倍にもなるのでしょうか?

「国土交通省から今回の運用変更がメーカーに伝えられたのは、2018年の4月くらいでした。
運用変更まで1年しかないなか、商品が切り替わるということで、短期間ですべての商品の元となる型枠を変える必要がありました。
型枠を廃棄するだけで10億円はかかります。そして1から新商品を作るとなると数百億円の費用が必要です

「さらに、確実に試験をクリアするように、不燃材を入れたり、部品を追加・グレードアップしたりしています。
これまでよりも、さらに防火性能を高めるために、いいものを使うようになってきているということです。そのため、価格が大幅に上がっているんですよ」

―廃棄や、新商品の費用が価格に載っているということでしょうか?

「いいえ、廃棄を含むこれらすべてを商品価格に乗せると、これまでの4倍~5倍の価格になってしまいます。
そうなると市場が混乱してしまうため、各メーカーは価格を2倍ほどにおさえ、先行投資として費用負担をしているということなんです」

新築のビル・マンション、大規模修繕に影響あり

―どんなケースで投資家に影響がでるでしょうか?

「この先、ビルやマンションの建築を予定されている方にとっては、大きな予算変更となるでしょう。
また、マンションを1棟、区分で所有していて、サッシを新しくする大規模修繕が入る場合には、その費用が倍かかることになります」

まとめ

ビル用アルミ防火戸(サッシ)の価格が2倍に上がる影響の具体例としては、大規模修繕のサッシ取り換え費用が、これまで1部屋につき50万円だったとすると、2019年4月1日以降は100万円の予算が必要になります。

多くの不動産投資家に関わる運用変更となりそうですので、ビル・マンションを所有している場合は、修繕積立金の増額や、予算が足りない場合にかかる一時金の負担についての見直しが必要かもしれません。

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

インベストオンライン 編集部

インベストオンライン 編集部

最新の不動産投資情報やノウハウをリアルタイムにお届けする、株式会社インベストオンラインの広報担当。投資初心者向けコンテンツから上級向けの物件最新情報まで、広く発信していきます。

記事一覧