不動産投資コラム

上手に頼れば得をする?大家と行政書士の付き合い方

行政書士棚田 健大郎
上手に頼れば得をする?大家と行政書士の付き合い方

前回は、賃貸経営における行政書士の活用ポイントについて解説してきましたが、行政書士に頼れる部分は他にも複数あります。

今回は、不動産投資の法人化や、顧問契約も含めた行政書士の報酬、そして不動産に強い行政書士の見分け方について解説したいと思います。

【1分で分かる!新築一棟投資の魅力とは?】東京圏・駅徒歩10分圏内の物件紹介はこちら

不動産投資を拡大するなら行政書士で法人化を

不動産投資が一定規模になってきたら、税金面を考えると法人化したほうが有利になります。
実は、行政書士に会社設立手続きを依頼すると、自分で会社を設立するよりも、費用を安く抑えることができるのです。

行政書士なら法人化費用が4万円安くなる!?

不動産投資を法人化(株式会社)する場合には、主に次のような費用がかかります。

  • 資本金:法改正により1円から設立が可能になりました。
  • 定款の印紙代:4万円
  • 公証人認証手数料:5万円
  • 登録免許税:資本金の0.7%、最低15万円
  • 謄本交付手数料:2,000円程度

このように、不動産投資を法人化するためには、資本金の他に約24万円が費用として必要になります。

法人化を行政書士に依頼すると、通常書面で提出する会社定款が、行政書士の「電子署名」によって「電子定款」という非書面型の定款が作成できるため、本来書面の定款に貼る必要がある収入印紙4万円が不要になるのです。

最近では、会社設立手続きを1万円程度から請け負っている行政書士もたくさんいますので、事実上、自分自身で苦労して会社定款を作成して法人化するよりも、すべて行政書士に任せたほうが、安くて簡単です。

記帳代行も依頼できる

行政書士の中には、会社設立手続きだけではなく、設立後の記帳代行についても対応しているケースがあります。不動産投資を法人化するメリットの一つは、経費の幅が広がることです。

法人化することで、個人事業主の時は経費として認められなかった旅費や交通費なども認められるようになるため、日々の帳簿付けはできるだけプロに依頼する必要があります。

行政書士に記帳代行を依頼すれば、日々の記帳はもちろんの事、記帳した内容をもとに、適切な経営アドバイスも受けられるため、賃貸経営の良きアドバイザーとなるでしょう。

行政書士の報酬は

行政書士の報酬

不動産投資や賃貸経営は、行政書士を上手に活用することで多くのメリットを受けられますが、依頼する際の報酬はどのくらいかかるのでしょうか。

相談料は基本無料

弁護士に相談すると、1時間あたり5,000~1万円程度の相談料がかかるのが一般的ですが、行政書士の場合、相談料を有料としているケースはほとんど見かけません。

相談すること自体には費用がかからないことが多いので、気軽に聞けることが大きなメリットの1つです。

単発型と顧問型

行政書士報酬の料金体系は、基本的に自由化されているため、行政書士事務所によって料金は異なりますが、大きく分けると単発型顧問型の料金体系があります。

単発型は個別の依頼に対して、1回ずつ料金が発生するタイプです。
賃貸経営関係のサポートでいうと、内容証明郵便1通の作成でおよそ1万円前後が相場です。

対して、顧問型については月額顧問料を支払って顧問契約を結ぶことで、ある程度までの業務については個別の料金なしで対応してくれるというタイプです。
顧問料の相場はまちまちですが、個人大家相手の行政書士であれば、月額5,000~1万円前後が相場でしょう。

保有している戸数が増えてきたら、顧問型の行政書士の方がお得になる可能性があります。

何れにしても、弁護士に依頼するよりははるかに安く抑えられる点が魅力です。

不動産に強い行政書士の見分け方

行政書士は対応できる業務の範囲が非常に広いため、医師に内科、外科、眼科、整形外科、耳鼻科といった専門科があるように、行政書士にも専門としている分野や得意分野というものがあります

不動産投資や賃貸経営で強い味方となってくれる行政書士を探すには、不動産に強い行政書士を見極めることがとても重要です。

チェックポイント1: 行政書士の保有資格

行政書士の見分け方

行政書士の中には、行政書士以外にも資格を保有している行政書士がいます。

依頼を検討している行政書士のホームページのプロフィールを見て、不動産に関連する資格を保有しているか確認することで、不動産に強い行政書士かどうかを見極めることが可能です。

例えば、次のような資格を保有している行政書士は、不動産に強い可能性が高いです。

  • 宅地建物取引士
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 敷金診断士
  • 不動産鑑定士
  • 土地家屋調査士

これらの資格は、不動産の専門知識がなければ取得できない資格なので、不動産に強い行政書士を見分ける1つの指標になるでしょう。

チェックポイント2: 行政書士の経歴

家賃滞納や敷金トラブルなどについては、できる限り実務での経験が多い方がより適切なサポートが可能です。
行政書士の中には、前職から転身して行政書士になる人も多いため、前職が会社員であるケースもよくあります。

行政書士事務所のホームページのプロフィールで、前職の経歴が不動産会社勤務だったりすると、実務経験に長けている可能性が高いため、不動産に強い行政書士である可能性が高いです。

また、過去の対応実績などから、不動産関連の案件がどれだけあるかを探ってみるのもよいでしょう。

まとめ

行政書士は、単なる代書屋ではなく、賃貸経営におけるさまざまなシーンにおいて、投資家、大家さんを支えてくれる力強い存在です。

むやみに妥協して相手の要求に従うよりも、行政書士に依頼して対処したほうが、費用対効果を考えてもプラスになることがよくあります。

「弁護士に依頼するほどではないけれど、自分で対応するのはちょっと不安」

そんな時は、ぜひ行政書士を頼ってみてください。

関連記事

賃貸経営に行政書士のサポートは必要?役割を解説
賃貸経営で法人化するメリット①個人の税金を節税

東京圏人口一極集中さらに加速…不動産投資は、立地で決まる。解説本無料プレゼント

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

記事一覧