地方圏で26年ぶりの地価上昇。平成30年地価公示
国土交通省は3月27日、平成30年の地価公示の結果を発表しました。
平成30年1月1日時点、全国約26000地点が対象となった地価動向になります。
今年で49回目となった地価公示では、全国的に広くゆるやかな地価の回復傾向が明らかとなりました。
特に地方圏では、商業地の平均が、平成4年以来26年ぶりに上昇に転じ、住宅地を含めた全用途の平均でも、26年ぶりに下落を脱して横ばいに転じました。
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平成30年地価公示 全国の地価動向
全国
▼ 平成20年からの全国公示推移
住宅地 | 商業地 | 全用途 | |
---|---|---|---|
平成20年 | 1.3 | 3.8 | 1.7 |
平成25年 | ▲ 1.6 | ▲ 2.1 | ▲ 1.8 |
平成28年 | ▲ 0.2 | 0.9 | 0.1 |
平成29年 | 0.0 | 1.4 | 0.4 |
平成30年 | 0.3 | 1.9 | 0.7 |
全国変動率は全用途では0.7%プラス、商業地では1.9%プラス、住宅地では0.3%プラスとなりました。
全国住宅地が上昇に転じたのはじつに10年ぶりのこと。
また、商業地と全用途が上昇したのは3年連続となります。
三大都市圏
▼ 平成30年地価公示(地域別)
住宅地 | 商業地 | 全用途 | |
---|---|---|---|
三大都市圏 | 0.7 | 3.9 | 1.5 |
東京圏 | 1.0 | 3.7 | 1.7 |
大阪圏 | 0.1 | 4.7 | 1.1 |
名古屋圏 | 0.8 | 3.3 | 1.4 |
東京・大阪・名古屋圏での全用途は1.5%プラス、商業地3.9%プラス、住宅地0.7%プラスと、三大都市圏でも上昇が見られました。
大阪圏を見ると、住宅地の変動率は0.1%と微少ながらも、商業地では4.7%と、3圏で最も高い上昇率となっていることがわかります。
大阪圏の商業地上昇は今年で5年連続になります。
地方圏
▼ 平成30年地価公示(地域別)
住宅地 | 商業地 | 全用途 | |
---|---|---|---|
地方圏 | ▲ 0.1 | 0.5 | 0.0 |
地方四市 | 3.3 | 7.9 | 4.6 |
その他 | ▲ 0.5 | ▲ 0.4 | ▲ 0.5 |
地方圏では住宅地が0.1%マイナス、商業地0.5%プラス、全用途では横ばいという結果になりました。
地方圏商業地での上昇は26年ぶり。
また全用途では横ばいとなりましたが、下落を脱したのも同じく26年ぶりのことです。
これは札幌・仙台・広島・福岡の地方四市が住宅地3.3プラス、商業地7.9プラス、全用途4.6プラスと大幅な上昇を見せたことが大きいとみられます。
地価上昇の背景
首都圏のみならず全国に波及した地価上昇。
国土交通省はこの背景を、商業地においては外国人観光客増加によるホテル・店舗などのインバウンド需要の高まり、そして都市部の再開発進展、主要都市でのオフィス空室率が低下など、繁華性と収益性が向上したことなどとみています。
また、全国的に雇用・所得環境改善が継続、そして低金利環境が続いていることなどが住宅需要を下支えし、利便性の高いエリアを軸に住宅地の地価が回復傾向にあることも背景として考えられるようです。
各地目立った価格・上昇率など
全国で最も上昇した住宅地となったのは、北海道倶知安町でした。
ニセコエリアの倶知安町は、外国人のリゾート需要が大きく、リゾート従業員中心に住宅需要も拡大中のようです。
全国の公示価格順位トップは全用途・商業地ともに東京都中央区銀座の「山野楽器銀座本店」で、5550万円/㎡。こちらは12年連続となりました。
一方全国住宅地で最も高かったのは東京都港区赤坂一丁目で、401万円円/㎡。
これまでトップであった千代田区六番町が初の2位陥落となりました。
東京の住宅地上昇率においては、23区全体で3.9%上昇しています。
東京区部上昇率トップは荒川区で、これはJR上野東京ラインが開通、区内各所での再開発事業の完成により、利便性と住環境の改善がされたことが要因として考えられます。
また、東京都は23区全体の商業地が6.4%上昇。
中心区だけでなく周辺へと高い上昇率を示す区が拡大し、利便性が改善されたエリアを中心に、昨年よりも上昇幅が拡大した区が目立っているようです。
東京圏では、商業地・住宅地ともに、ほとんどの都県の区において上昇が続いているようです。
都道府県別の上昇率では、住宅地のトップは、沖縄県で6.5%プラス、商業地トップは、京都府で5.5%プラス。下落率では、秋田県が住宅地で1.9%マイナス、商業地で1.8%マイナスと最下位の結果になりました。
しかし、今回の地価動向では、全国的には下落率は縮小傾向にあるようです。
全国的に緩やかな上昇・回復傾向が見られた今年の地価公示。
都市部での不動産価格が高騰し、地方に投資マネーが流入しつつある昨今、
地価上昇は、今しばらく続くのではという見方もされていますが、東京五輪を前に、今後の地価動向には注目です。
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