税務調査がある場合に問題となる点とは?
賃貸経営で税務調査がある場合に、税務署が確認することを教えていただけますか?
また、指摘されやすい注意としては、どのような点がありますか。
収入と必要経費について、7つの注意点があります。
1.収入について
(1)収入の計上漏れがないか
自主管理などをしていて、入居者から直接家賃を受け取る場合には、収入の計上漏れがおきやすくなります。銀行振り込みなのか、現金で受け取るのか、部屋数と合っているのかを確認していきます。
(2)賃貸に付随する収入が計上されているか
アパートの敷地などに自動販売機がある場合には、自動販売機収入が計上されていなければなりません。
他にも、携帯のアンテナ収入、電柱使用料、駐輪場使用料など、金額は大きくはないですが、漏れやすい収入があります。家賃以外の収入はないか、あれば収入計上されているか確認されます。
(3)敷金の処理が適正になされているか
敷金返金の処理について、借主が負担すべき修繕費相当額を敷金から相殺して返金している場合に、その修繕費相当額を収入に計上しなければなりません。非常に漏れやすい部分となります。
(4)敷金・保証金の償却の処理が適正になされているか
店舗や事務所に賃貸する場合には、借主から預かる敷金や保証金の償却があることがよくあります。
例えば、賃貸借契約書に「保証金は賃料の6ヵ月分預かり、2ヵ月分は償却する」という記載になっている場合には、返還しない2ヵ月分を収入に計上しなければなりません。
さらに、店舗や事務所であれば、保証金のうち返還しない部分は、消費税の課税の対象となりますので、収入漏れが消費税の納税にまで影響を及ぼす可能性があります。
(5)家賃から相殺される建設協力金の返済があるか
ロードサイド店舗などの事業用建物を建築して賃貸する場合に、借主が貸主に建設協力金を預けることがあります。これは借主の要望する建物(店舗)の建築を、貸主の資金負担なくできるというメリットがあります。
ただし、これは預けているだけなので、貸主から借主に返還しなければなりません。このとき、建設協力金を賃貸借契約期間に分割して返還するとし、月々の賃料と相殺する方法がとられることがあります。
例えば、返還金が月50万円、賃料が月60万円なら月10万円のみが振り込まれるということです。その際に、相殺された10万円のみを収入計上すると、50万円が収入漏れになってしまいます。
建設協力金がないかどうか、建築当時の契約書などを確認されます。
2.必要経費について
(1)家事使用分がないか
アパートの1室に子供を住まわせていることがよくあります。賃料を取っていないと家事使用分として、その部屋に係る固定資産税、減価償却費、借入金の利息などの経費が計上できません。
家事使用している部屋はないか、あれば、その部分に係る経費が除かれているか、確認されます。
(2)プライベートの支出が含まれていないか
不動産所得に係る経費かプライベートの支出か区分がつかない場合があります。
交際費や交通費はよく問題になりやすいため、誰と、何のために、どんな目的で支出したのか確認されることがあります。
2018/08/17
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士