不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

土地建物区分。売買契約書に建物9割・土地1割と書いても認められる?

不動産の売買契約書に土地と建物の内訳が記載されていれば、その金額が建物金額になると聞きました。
それなら、建物を9割、土地を1割にしてもよいのでしょうか?

原則は当事者間の合意が尊重されるが、実態とかけ離れた極端な配分は「否認」のリスクあり。客観的な合理性が不可欠。

売買契約書に建物と土地の内訳を明記していれば、原則としてその金額が認められます。
ただし、客観的な価値とかけ離れた「著しく不合理」な配分は、税務調査で否認されるリスクがあります。

1.契約書の内訳は「原則」認められるが

売買契約書に土地○○円・建物○○円と書かれていれば、それは当事者の合意ですから、原則としてその金額がそのまま建物の取得価額になります。

建物の取得価額が大きくなれば減価償却費が増え、所得税の節税につながるため、買主としてはできるだけ建物に多く配分したいと考えるのが自然です。

ここで注意したいのが、税務当局は契約書の記載をそのまま認めるとは限らないということです。
否認される代表的なケースは次のとおりです。

(1)租税回避目的が明らかな場合

売主・買主が示し合わせて、節税のためだけに実態と異なる金額を記載した場合には否認される可能性があります。

(2)客観的な価値と大きくかけ離れている場合

実際に、令和6年の国税不服審判所の裁決では、契約書の配分比率が固定資産税評価額比と大きく乖離していたため「著しく不合理」と判断され、固定資産税評価額比で按分し直す更正処分が行われた事例があります。

2.「合理的な按分基準」とは何か

税務署が一般的に合理的とみなす按分基準は、固定資産税評価額比です。
評価時点が土地と建物で一定であり、かつ、同一機関で評価されているからです。

ただし、不動産鑑定士による鑑定評価を取得すれば、その比率が認められることもあります。
こちらの方が正確な時価を表していると考えられるためです。

3.偏った配分をしたいなら「根拠」を用意する

それでも建物の比率を大きくしたい事情がある場合は、ある程度の根拠となるもの(土地は固定資産税評価額を採用した等)を準備しておいた方がよいでしょう。

また、建物に高額な設備がある、大規模修繕をしたばかりであるなど、配分に合理性がある事情は文書にして保存しておくとよいでしょう。

「節税になるから」という理由だけで極端な配分をするのは、否認・追徴のリスクが大きく、おすすめできません。

2026/05/08

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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