交際費の計上。重加算税となる危ないラインは?
法人で賃貸物件を所有しています。
交際費を多く計上していますが、危ないものかどうかのラインはありますか?
安全な交際費は「事業関連性を説明できる支出」
1.危ない交際費の計上とは
危ないとは、税務調査で「重加算税」と認定されるものと仮定して回答します。
重加算税とは、法人税などの申告義務に対して帳簿や証憑などを隠ぺい・仮装して意図的に不正を行った場合に課される重いペナルティです。
重加算税の税率は追加納税額の35%(無申告の場合は40%)と高めに設定されています。
そもそも不動産賃貸業は、製造業や販売業のように日常的に取引先を接待する必要がある業種ではありません。
特に家族役員だけで運営する小規模な賃貸業法人の場合、本来交際費として計上できる支出はほとんど発生しないはずと税務署から見られているのです。
それにもかかわらず多額の交際費を計上していると、税務署は「プライベートな支出を会社の経費に紛れ込ませているのでは?」と疑いの目を向けてきます。
重加算税が課される典型的なケースとして下記があります。
(1)架空の接待
例えば、社長が一人で高級クラブに行った費用を「取引先との接待」と偽って計上したある事例では、税務調査で「実際はひいきのホステスと一人で飲んでいただけ」と発覚し重加算税が課されました。
裁判でも「人脈づくりの目的があった」という主張は「具体的な業務との関連性の説明がない」として退けられています。
(2)私的な飲食代
家族や友人との私的な飲食を交際費にすることも危ないです。
これは最初から個人的支出だと知りながら会社経費に入れているわけですから、「事実を故意に歪曲した仮装行為」と認定される可能性が高くなります。
(3)ワリカンの不正計上
実際は参加者でワリカンにしたにもかかわらず、全額支払った領収書をもらって、会社の交際費として計上するケースです。
これは支払っていない金額まで経費にしているわけですから、明らかな虚偽記載であり、税務調査で発覚すれば確実に重加算税の対象となります。
税務署は領収書の金額と参加人数のバランス、他の参加者への確認などで簡単に見破ることができます。
(4)偽装した贈答品
実際は個人的な買い物を「得意先への贈答」と装って計上するケースがあります。
税務調査では贈答品の受取人まで確認されるため、事業と無関係な相手への支出と判明すれば単なる否認では済まず、意図的な仮装行為として重加算税が課される可能性が高くなります。
2.安全なラインとは
「その支出に事業関連性があり、それを証明できるか」という点です。
不動産管理会社との打ち合わせ時の飲食、仲介業者への中元・歳暮、金融機関担当者との会食など、事業に直接関係する相手との交際費であることを説明できれば問題はありません。
領収書の裏面に相手の社名・氏名と目的を記録しておくと良いでしょう。
また金額面では、家族経営の小規模不動産賃貸業で年間数百万円もの交際費は明らかに不自然です。
同規模の同業他社と比較して突出していないか、常に意識する必要があります。
2026/01/09
手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士