令和4年度の確定申告の変更点と不動産所得の注意点
令和4年度の確定申告の変更点や注意点があれば教えてください。
令和4年度の変更点、不動産所得の注意点を下記にまとめました。
令和4年度の変更点
住宅ローン控除
新規に住宅ローン控除を受ける場合には、控除率、控除期間、所得制限が異なっています。
これまでは、控除率は1%、控除期間は10年間が原則でしたが、令和4年入居の場合は、
控除率0.7% 控除期間13年になっています。
また、適用対象者の所得要件が2,000万円(今までは3,000万円)に引き下がっています。
ちなみに借入限度額は3,000万円(認定長期優良住宅の場合は5,000万円)です。
事業所得と雑所得の明確化
事業所得か雑所得の区分が不明確だったものを明確化するために通達の改正がありました。
- 記帳・帳簿書類の保存がある場合には、事業所得に該当。
- 記帳・帳簿書類の保存がない場合には、収入が300万円を超えてかつ、事業所得と認められる事実がある場合に事業所得に該当する。
ただし、記帳・帳簿書類の保存があっても、収入が僅少と認められる場合。
(収入が300万円未満で、本業の10%未満など)や営利性が認められない場合。
(例年赤字で、赤字解消の取り組みをしていない場合など)には、雑所得に該当します。
確定申告書Aの廃止
給与所得や年金のみの所得の方が利用していた申告書Aが廃止になり、申告書Bに統一されました。
不動産所得の注意点
物件購入時の仲介手数料は資産に計上
購入した資産の取得価額は、購入代金だけでなく、購入するための付随費用も含めて資産計上しなければなりません。
不動産を購入するにあたり、不動産会社に支払う仲介手数料は購入手数料に該当しますので資産の取得価額に計上することになります。
土地建物一括で購入している場合は仲介手数料を土地と建物の金額の比率で配分し、土地・建物にそれぞれ計上する必要があります。
赤字になった場合土地負債利子の計算をして、損益通算の対象から除外する
不動産所得については、赤字になった場合には、
という規定があります。
土地の借入金の利息について、経費にならないということではなく、経費にはなるけれども、赤字になった場合には、赤字分から土地の借入金の利息を控除した金額が、損益通算の対象になるということです。
返還しない敷金・保証金を収入計上する
預かった敷金・保証金のうち返還しなくてもよい部分があった場合、その部分は収入に計上しなくてはなりません。
契約書に「敷金は、退去時に滞納金、入居者負担のリフォーム代がある場合に相殺し、残額を返還する」と記載がある場合がよくあります。
敷金の精算を行う場合には、本来、入居者が退去の際に原状回復をして明け渡さなければならないところを負担すべき修繕費相当額を敷金から差し引いて精算するということです。
このように相殺された金額については、相殺される前の金額で敷金・保証金をマイナスする処理をし実際に返却した現金との差額を収入に計上します。
2023/01/13
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士