サラリーマン大家だが来年が定年。法人化したほうがよい?
サラリーマンをやりながら、個人で賃貸経営をしていました。
年収が1,500万円くらいあります。
来年が定年になって、給与収入がなくなります。
それでも、法人化した方がよいのでしょうか?
目的によって法人化した方がよいかどうかの結論がかわってきます。
目的と判断基準によって、判断されることをおすすめします。
下記の目的、判断基準(これ以外の目的もありますが、まずは)にあてはめてみてください。
(1)所得税・住民税の節税
一般的に法人化の目的として、所得税・住民税の節税があります。
節税になるかどうかは、課税所得で800万円を超えるかどうかが目安になります。
サラリーマンの給与収入がなくなり、年金所得と不動産所得で課税所得800万円を超えるかを試算してみましょう(年金は、年金所得控除が多いため、収入に対して所得は大きくならない傾向があります)。
(2)相続税の節税
法人化することによって、個人に貯まる家賃収入を一部もしくは全部を法人に移転させることができます。
個人に貯まる家賃収入(つまり現預金)は、相続財産として相続税の課税対象になります。
相続までの間に移転できる家賃収入分に係る相続税額の総額が、節税額と捉えることができます。
相続までの期間の予測が難しいですが、例えば
でシミュレーションをすることができるかと思います。
相続税の節税額 >法人化に係る費用(設立費用、維持管理費、物件移転費用など)
が成り立てば、法人化するメリットがあるといえます。
(3)融資対策
不動産投資を個人で借り入れをする場合、年齢が大きく影響してきます。
金融機関によりますが、70~80歳までに完済できる期間でしか融資できないこともあります。
その場合に、法人であれば融資期間を長く借り入れできる可能性があります。
(お子さんなどを役員に入れて、連帯保証人にするなどの前提があると思いますが)
基本的には、会社は永続的に続く(ゴーイングコンサーン)と考えられるためです。
融資を受けるために(節税にはならなくても)法人を設立するのは有効です。
2021/08/06
手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士