飛騨高山の無人運営ホテルOPEN!旅館業申請のポイントは?
岐阜県の飛騨高山市のホテル「Fav Hotel Takayama(ファヴ・ホテル高山)」が、この秋10月末にオープンしました。
筆者が、旅館業申請の相談を依頼者から受けたのは、2年近く前に遡る、建築計画前の土地の段階でした。
プラン設計、建築、開業準備、飲食店営業許可及び旅館業申請など、長い道のりをかけてきたので、このたび開業の運びとなり、大きな充実感を感じています。
岐阜県・飛騨高山は「高山陣屋」「朝市」など、江戸時代の歴史的建造物や文化が町並みを彩るほか、滝や山林、温泉、昭和51(1976)年には国の重要伝統的建造物群保存地区として認定され、平成7(1995)年にはユネスコの世界遺産としても有名な「白川郷」など、日本の原風景に触れることができる、いちどは訪れたい観光地です。
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申請先は「市」それとも「県」?旅館業申請前に必要な手続きとは?
岐阜県・飛騨高山市での旅館業申請手続きの進めかたを説明しましょう。
岐阜市を除く岐阜県の旅館業申請は、「県」が所轄をしており、岐阜県共通のルール(審査基準)により許可処分の審査が行われますが、具体的な申請窓口は地域ごとの所轄の保健所となります(岐阜市は県とは別に、市による独自の手続きを定めています)。
高山市の旅館業については、飛騨市・大野郡と併せて、飛騨保健所が申請先となるので、まずは申請先を間違えないよう注意しましょう。
さて、一般的なの旅館業の申請であれば、まずは保健所へ相談に行くことから手続きが始まりますが、高山市の場合は、保健所へ行く前に行うべき手続きがあります。
それは、「旅館業等建築事前協議」です。
高山市においては、市内に旅館やホテルを建築する場合は、「高山市特殊旅館建築等の規制に関する条例」に基づき、旅館営業許可申請書や都市計画法に基づく開発行為の許可申請書などの提出の60日前までに、建築住宅課に対して「高山市特殊旅館等建築申請書」を提出しなければならないと定められています。
上記の建築住宅課への事前協議完了後に、ようやく保健所への旅館業の申請を進めていきます。
工事計画(プラン)の確認などの事前相談は当然前以て保健所と協議しながら進めますが、旅館業申請書の提出は、原則として建物竣工後、消防法令適合通知書と検査済証が交付された段階で行います。
建物はできあがっているのに、旅館業の許可が下りないためにオープンが遅れてしまうのはもったいないので、極力ロスタイムをなくすべく、開業までのスケジュールの把握と的確な段取りが重要です。
旅館業の申請に必要となる資料は次の通りです。
・付近見取図(縮尺2500分の1)
・配置図(縮尺200分の1)
・各階平面図(縮尺100分の1)
・立面図(縮尺100分の1、4面以上で建築物、門、塀の意匠及び色彩を明示したもの)
・各室の詳細図及び展開図(縮尺50分の1)
・断面図(縮尺100分の1、2面)
・看板、広告物、屋外照明設備等の設置箇所、形状及び色彩を明示した図書
・給水、給湯系統、空調系統及び排水系統の詳細を示す書類を添付
・使用水の種別並びに水質の適性を示す書類
・消防法令適合通知書
・検査済証の写し
その他にも、玄関帳場の代替措置を講じる場合や、建物所有者と旅館業申請者が異なる場合、運営業務を他者に委託する場合など、追加資料の提出が必要となる場合があります。
飛騨高山で無人運営のホテル申請に挑戦!
ここからは、玄関帳場の代替措置を講じ、フロントにホテル従業者を滞在させずに、無人で施設を運営する場合に必要となる措置について説明します。
(1)宿泊者の本人確認の実施
無人の場合のチェックインについて、営業者又は従業員が、対面又は対面と同等の手段として次の要件を満たすICT機器を活用した方法により本人確認体制を整備する必要があります。
・当該画像が施設の近傍から発信されていることを確認できること。
活用するICT機器が、適切な本人確認(対面と同等の方法)を行うことができるものであることを説明するための仕様書などをもとに、保健所に対する疎明書類の提出が必要です。
(2)宿泊者名簿の記載項目
宿泊施設の営業者は、宿泊者名簿の作成と保管が義務付けられています。
宿泊者名簿に記載が必要な項目は
①氏名
②住所
③職業(海外の宿泊者は旅券番号)
です。パスポートの写しを保管する場合は、旅券番号の控えは不要です。
(3)緊急時には24時間、迅速に駆けつけることができる体制を整えること
宿泊施設の営業者は、火災や急病人発生などの緊急時において、24時間、施設まで10分以内に駆けつけることができる体制を整備することが求められます。
また、宿泊者が緊急事態を連絡するための連絡手段は、宿泊者の携帯電話等ではなく、宿泊施設が用意する必要があります。
内線電話設備等を設置することが良いでしょう。
(4)宿泊施設出入り状況の確認
宿泊施設の営業者は、宿泊者の施設の出入状況を確認する措置(監視カメラの設置など)を講じ、当該出入状況の映像を常時確認しなければなりません。
例えば、映像を確認するモニターを設置する場所、映像確認者(画像を確認する場所について地図及び建物の図面等)に関する資料を保健所に提出します。
(5)近隣からの苦情対応を行う連絡先を掲示する。
宿泊施設の営業者は、宿泊者以外(外部の者)が訪問した際の管理者の連絡先を明確し、常時問い合わせを受けることができる体制を整える必要があります。
(6)宿泊者の安全確保
宿泊施設の営業者は、宿泊者の安全等を確保するための方法を整理し、宿泊者に対しては、客室にマニュアルを設置するなどの対応を行う必要があります。
今回は、旅館業の申請(玄関帳場の代替措置を講じる)に加え、飲食店の営業許可申請も合わせて行ったため対応項目が多くありましたが、依頼者、施工会社、運営会社、保健所のすべての関係者が非常に協力的であったため、スムーズに手続きを進めることができました。
関係者の皆様には、この場を借りてお礼を申し上げます。
飛騨高山は外国人旅行者に人気があると聞いていますが、日本人の国内旅行先にもぴったりのエリアです。
この秋は色づく紅葉を楽しみながら、まったり歴史と伝統文化に浸かる旅はいかがでしょうか? みなさまのお越しをお待ちしております。
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