旅館業以外も!合法的に認められている民泊6類型
住宅を活用して提供される宿泊サービスである「民泊」を、反復継続して有償(宿泊料を徴収する)でビジネスとして行う場合、我が国においては旅館業法の許可が必要となります。
「旅館業法」という法律の存在自体、初めて耳にしたという方もいるかもしれません。
不特定多数の人を、反復継続的に受け入れる宿泊サービスの提供は、公衆衛生の観点から、厚生労働省が管轄・規制しています。
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民泊の類型は全6種類
近年急増したインターネットを通じて宿泊客に住宅を提供する民泊は、多くの場合、反復継続的に有償(宿泊料を徴収)のサービスに当たるため、旅館業法の許可が必要と考えられます。
ところで、民泊の類型は「旅館業」だけではありません。現在、日本の制度上合法的に認められる民泊は、全部で6類型あります。
民泊の類型 | 旅館業法の適用 | 宿泊日数等の制限 | 制度開始時期 |
---|---|---|---|
⑴イベント民泊 | なし ※反復継続性がないため |
年1回、 2~3日程度 |
2015年7月 |
⑵農家民宿 | あり (ただし要件緩和) |
なし | 2003年4月 |
⑶農家民泊 (無償民泊) |
なし ※有償性がないため |
ー | ー |
⑷旅館業(簡易宿所)型民泊 | あり | なし | 1948年 |
⑸特区民泊 | 特別に除外 | 3~10日以上 | 2016年1月 |
⑹住宅宿泊事業 | 特別に除外 | 年間180日まで | 2018年6月 |
日本橋くるみ行政書士事務所
「民泊にもこんなに多くの種類があるなんて!」と、おどろいてしまいますね。それぞれどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
(1) イベント民泊
イベント民泊は、名前の通り年1回(2~3日程度)の公共性の高いイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するものです。
「ホテルが足りなくなるので、この時期に民泊をやりましょう!」と民泊サービスの提供を呼びかけを行うのは、事業者ではなく自治体であるという点が大きな特徴です。
イベント民泊は、住宅を宿泊客に宿泊料金を得て(有償)提供しますが、頻度が年1回程度で、宿泊者の入れ替わりがなく(期間中は1グループのみ受入れ)反復継続性がないことから、旅館業法の許可が必要ありません。
日本で最初のイベント民泊は、2015年12月、福岡市が嵐とEXILEのクリスマスコンサート公演期間中の5日間に実施しました。
宿泊のニーズは季節性(閑散期と繁忙期)があることが通常であり、ホテルや旅館は閑散期は宿泊料金を下げるなどして集客に苦労します。そこで、通年ではなく、イベント時など一定期間だけ爆発的に宿泊ニーズが高まるという事態に対応できる制度として、近年、国体や祭り、マラソン大会などにイベント民泊に取組む自治体が増えており、注目を集めています。
(2) 農林漁業体験民宿業(農家民宿)
施設を設けて人を宿泊させ、農林水産省令で定める「農村滞在型余暇活動又は山村・漁村滞在型余暇活動に必要な役務を提供する営業」を農林漁業体験民宿業(以下、「農家民宿」)といいます。
規制緩和が行われた2003年以降、農家が自宅を宿泊施設として活用するいわゆる「グリーンツーリズム」が広がりました。
農家民宿は、宿泊サービスとセットになる農業体験等のアクティビティが提供されることが特徴です。
旅行の目的は観光や体験などアクティビティがつきものです。農家民宿においては、旅行者は、田植え・稲刈り体験、カブトムシ取り、そば打ちやオーガニック旬野菜を使った手作りピザづくり体験等、マリンスポーツ等、各地域の自然を活かした体験型の旅を楽しむことができます。
(3) 農家民泊(無償民泊)
農家民宿と混同されがちな民泊の類型として農家民泊があります。
学校の修学旅行などで農業・漁業体験型の民泊が人気を集めていますが、その多くは一般家庭がボランティアで学生を受け入れる農家民泊に該当します。
宿泊料を徴収せず、有償性がないという点が農家民宿との違いです。無償で自宅に泊めるボランティアですから、旅館業法の許可は不要です(食事等の実費のみを徴収することは可能)。
次回は、特に民泊ビジネス上重要な、旅館業型民泊、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)、住宅宿泊事業(新法民泊)の3つの制度について見ていきましょう。
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