不動産投資のQA

賃貸経営で発生する家賃滞納や、雨漏り、騒音など…様々なトラブル。対応方法について専門家がお答えします。

退去後に賃貸借契約の名義変更をする場合、どのような手続きが必要?

先日賃借人(入居者)から連絡があり、大学卒業を機に退去すると通知してきました。

また空室が出てしまうとショックを受けていたところ、賃借人から自分の後輩が大学に入学するので賃貸借契約の名義を変更して、そのまま家具も引き継いで部屋を使いたいと打診を受けました。

こちらとしては非常にありがたいのですが、契約上何か注意することはありますか?

基本的には解除してすぐ新規で契約を結ぶのと手続き的には同じですが、敷金の取り扱いに注意が必要になります。

賃借人が退去する際に知り合いを紹介してくれることが時々ありますが、この場合も基本的には新規で賃貸借契約を結ぶ時と同じ手続きをすることになります。

名義変更というと契約名義だけ変えることをイメージすると思いますが、賃貸借契約の場合はトラブルを避けるために現在の賃貸借契約はいったん解除してもらったうえで、新規で新しい賃借人と契約を結ぶという流れで進めます。

いくら知り合いでも素性がわからない人を入居させるわけにはいかないので、できれば仲介会社を通して正式に入居申込書を提出してもらうのがベストです。

敷金の取り扱い

敷金については退去者に全額返金したうえで、次に入居する賃借人から新たに敷金を預かることになります。

この際注意しなければならないのが、原状回復の責任範囲です。

通常、賃借人が退去したら一旦原状回復工事をして敷金精算をしたうえで、次の賃借人が入居することになります。

ところが、今回の事例のように原状回復工事をせずにそのまま部屋を継続使用する場合は、原状回復の責任範囲についてはっきりさせておくことが大切です。

例えば旧賃借人が2年居住して退去する場合、原状回復工事をせずに新賃借人が入居すると、旧賃借人に対して全額敷金を返金できますが、将来新賃借人が退去する際に旧賃借人がつけたキズなども含めて敷金から控除されることになります。

そのため、原状回復工事をせずにそのまま新賃借人が部屋を使用する場合は、退去時に旧賃借人の負担分についても敷金から控除される旨、必ず賃貸借契約書に盛り込んで説明しておきましょう

2020/04/12

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

記事一覧