雨漏り修理をしたいのに入居者が立ち会ってくれない…どうすれば?
先日、所有している1棟マンションで雨漏りが発生しました。
原因として、上階のベランダ防水の劣化が疑われたため、上階の賃借人立ち会いのもとベランダ防水工事を行おうとしているのですが、仕事が忙しいとのことでなかなか時間を取ってもらえません。
早く工事をしないと、雨が降った際にまた雨漏りをしてしまうためとても困っています。
どうしたらよいのでしょうか。
比較的緊急性の高い事案のため、事前に工事の必要性について告知し、賃借人立ち会いなしで施工することも可能。
近年はゲリラ豪雨など短時間に100mm以上の雨が降ることもあるため、それに伴って雨漏りによる被害も頻繁に発生しています。
今回の事例のように、雨漏りの原因が上階のベランダにあるような場合、原則としては上階の入居者のプライバシーに配慮して、入居者立ち会いのもとベランダで施工するのが理想です。
ですが、一人暮らしの方の多くは平日の日中仕事で在宅することが難しいケースが多いため、なかなか時間をとってもらえないことがよくあります。
このような場合、民法の大原則からすると、次のように規定されています。
民法第606条2項
雨漏りの工事は保存に必要な行為と考えられるため、原則として賃借人は拒むことができません。
かといって、勝手に部屋の鍵を開けて工事をすると、賃借人からプライバシー侵害で慰謝料請求される可能性があるため注意が必要です。
今回の事例では、事前に工事の必要性について告知していること、及び、雨漏りという比較的緊急性の高い事案であることを考えると、事前に賃借人に断っておけば、不在時に鍵を開けてベランダで施工することも可能と考えられます。
賃借人の許可を得て室内に立ち入る場合でも、後日のトラブルを防ぐために、次の点については注意しましょう。
- 立ち入る日時を事前に賃借人に知らせる
- 工事が終わったら即座にその旨を賃借人に電話またはメールで報告する
- 工事業者単独でなく、必ず大家か管理会社も一緒に立ち会う
- 室内の貴重品は当日持って外出してもらう
立ち入ることが法的に問題ない場合でも、本人不在時に部屋に立ち入ることは、様々な面でリスクを抱えることとなりますので、できる限り上記4つの点には十分注意し配慮しましょう。
2019/09/07
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー