不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

買い換え特例を使った物件を売却、購入金額を下回っていても税金がかかる?

父から相続で取得した不動産を売却しようと考えています。
父は以前、物件を8,000万円で購入しています。

購入代金は、別の場所に持っていた土地を売却して、買い換えをしたようです。
この物件を6,000万円~7,000万円で売却する予定ですが、税金はかかるのでしょうか?

特例により、多額の税金がかかる可能性があります。確定申告書の確認を。

お父様が買い換えによって取得したとのことですので、その不動産が居住用もしくは事業用で使用していた場合には、「買い換え特例」を使っていた可能性が高いです。

「買い換え特例」とは、事業用や居住用で使用していた場合に、一定の要件のもとに、買い換えをすると、売却に係る税金を繰り延べるという制度になります。

税金を繰り延べるとは、税金を免除するということではありません

そのときの税金を抑えますが、将来、買い替えた不動産を売却するときは、多額の税金がかかる可能性があるということです。

ですから、今回8,000万円で購入した不動産を下回る売却価額で、一見すると譲渡税はかからないと思いがちですが、実は譲渡税がかかる場合があるのです。

具体的には、今回売却を検討している不動産は8,000万円で購入されていますが、譲渡税の計算上は、8,000万円を取得費として使うことはできません

売却した土地の取得費を、そのまま引き継ぐ処理がなされます。
引き継ぐ取得費は、特例を使った当時に、いくらで売却したのか、居住用の特例か、事業用の特例か、などによって異なります。

正確な金額は、買い換え特例を使った当時の(お父様の)確定申告書を見ることです。
確定申告書がない場合には、税務署に記録が残っていますので、お父様が確定申告していた税務署の資産課税部門に問い合わせることができます。

電話では教えてくれないので、直接窓口に行って、

  • 買い換え特例を使っていないか
  • 特例を使っているのであれば、「引き継ぐ価額」の金額

を教えてもらってください。
その際に、物件の登記簿謄本やお父様との繋がりがわかる戸籍をお持ちになった方が、話が早いかと思います。

2019/03/14

東京に仕事を求めてやってくる単身者増加中…不動産投資は、立地で決まる

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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