住宅で貸していた部屋を「事務所」に。固定資産税の申告って必要なの?
賃貸マンションを所有しています。
当初はすべて住宅用として貸していましたが、「事務所として借りたい」というテナントの要望に応じて、現在3室が事務所使用になっています。
固定資産税の課税が変わると聞いたのですが、自分から申告しないといけないのでしょうか?
申告しないとペナルティはありますか?
事務所への変更は申告義務あり!不申告は過料リスク、税額は全体の「居住割合」で決まります。
所有者ご自身が市区町村に届け出る義務があります。
申告しないとペナルティの可能性があります。
ただし、必ず税額が上がるとは限りません。 建物全体の「居住割合」次第です。
■ なぜ「住宅」か「事務所」かで税金が変わるのか
土地の固定資産税には、住宅用地の特例という大きな減額措置があります。
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡までの部分)…固定資産税は評価額の6分の1、都市計画税は3分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分)…固定資産税は評価額の3分の1、都市計画税は3分の2
しかも、アパートやマンションは「1室=1戸」で数えます。
10室あれば「200㎡×10室=2,000㎡」までが小規模住宅用地の対象。
これが、住宅を建てている土地の固定資産税が大きく抑えられている理由です。
ところが、この特例は「人の居住の用」に使われていることが前提です。
部屋を事務所として貸すと、その部分は「住宅」ではなくなるため、特例の対象から外れる方向に働きます。
■ 税金が変わるのは「居住割合」次第
1棟の建物が住宅と事務所の混在になると、税務上は併用住宅として扱われます。
このとき、建物の延べ床面積に占める居住部分の割合(居住割合)で、土地のうち何割を住宅用地として扱うか(住宅用地率)が決まります。
住宅用地率は、ざっくり次のように決まります。
《建物地上5階以上の耐火建築物》
居住割合4分の3以上:100%居住用適用
居住割合2分の1以上(4分の3未満):75%居住用適用
居住割合4分の1以上(2分の1未満):50%居住用適用
居住割合4分の1未満:居住用適用なし
たとえば全20室のうち3室が事務所なら、おおむね居住割合は8割以上。
マンション(5階建て以上の耐火建築物)であれば、4分の3以上=住宅用地率は100%のままで、土地の固定資産税は実質変わらないというケースも十分にあり得ます。
■ 申告は所有者の義務
市区町村は、土地の登記や外観だけでは、室内の使われ方が住宅から事務所に変わったことまでは把握できません。
だからこそ、用途を変更したときは所有者が申告することになっています。
申告期限は「変更があった年の翌年の1月31日まで」としている自治体が一般的です(賦課期日が毎年1月1日のため)。
様式は「住宅用地(等)申告書」として各自治体が用意しています。
申告しないと、本来納めるべきだった不足分をさかのぼって徴収され、あわせて延滞金もかかります。
また、正当な理由なく申告しなかった場合、各自治体の条例で10万円以下の過料を科されることになります。
実地調査や、テナント募集広告・看板、登記の変更などで発覚する可能性があります。
■ まとめ
住居から住居以外への賃貸は固定資産税に影響します。
申告義務がありますのでご注意ください。
また、事務所・店舗としての家賃は消費税の課税対象です。
課税売上によっては消費税の課税事業者になりますので、あわせてご注意ください。
2026/08/28
手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士