毎年、築古物件買えばデッドクロス対策は必要ない?
築古戸建て物件を複数保有しています。
築古はデッドクロスを早い段階でむかえると思いますが、賃貸経営を継続し特に築古物件を毎年買い増ししている限り、特に対策は必要がないと考えてよろしいでしょうか。
ほかに有効な対策がございましたら教えてください。
「買い増し」は一時しのぎの自転車操業。法人化による根本対策とスケジュールの可視化が不可欠です。
たしかに理屈の上では毎年築古を買い増せば新たな減価償却費が発生し、デッドクロスを回避し続けることは「可能」に見えます。
しかしこれは根本的な解決ではなく、雪だるま式に物件を増やし続けなければ破綻する仕組みです。
1.そもそも「デッドクロス」とは?
デッドクロスとは、「年間の減価償却費 < 年間のローン元本返済額」になるタイミングのことです。
減価償却費は経費として計上できますが、実際にお金は出ていきません。
一方、ローンの元本返済は実際にお金が出ていきますが、経費にはなりません。
この「帳簿上の経費」と「実際の支出」が逆転すると、利益(=課税所得)が膨らむのに手元のお金は減っていくという苦しい状態に陥ります。
築古物件は残存耐用年数が短い分、短期間で大きな減価償却が取れます。
しかしその裏返しとして、償却が終わるタイミングも早く、デッドクロスが早期に訪れるのです。
2.買い増しで「しのぐ」ことの問題点
築古を買い増せば、新たな減価償却費が加わり、一時的にデッドクロスを回避できます。
この考え方自体は間違いではありません。
しかし、物件が増えれば家賃収入も増えます。
収入が増えれば、それを相殺するためにはさらに大きな減価償却費が必要になります。
つまり、買い増すペースをどんどん加速させなければ追いつかないのです。
これは自転車操業と同じ構造です。
いつか買い増しの手が止まったとき、融資が下りなくなったとき、良い物件が見つからなかったとき――それまで繰り延べてきた税金が一気に顕在化します。
減価償却は「節税」ではなく「税の繰り延べ」です。
将来払うべき税金を、今は払わなくて済んでいるだけ。
この本質を押さえておくことが大切です。
3.税金が大きくならない対策
最もお勧めしたい対策は、法人化です。
個人で不動産所得を得ている場合、所得が増えるほど累進課税で税率が上がっていきます(最大で所得税+住民税=約55%)。
一方、法人であれば税率は概ね23%程度(所得800万円以下の場合)、所得800万円を超えても36%程度で打ちになります。
法人化には、コストがかかります。
コスト以上の節税効果があるかのシミュレーションは重要です。
いずれにしても、すべての物件についてローン返済と減価償却のスケジュールを一覧にし、何年後にデッドクロスが来るのかを「見える化」しておくことが重要です。
問題が見えれば、対策の打ちようがあります。
2026/03/13
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士