賃貸用の物件を自宅転用。減価償却の一覧から消してよい?
昨年まで貸し出していた部屋について、今年から貸し出しを辞めて自宅にする場合、
減価償却の一覧表から当物件をいきなり消していいのでしょうか?
年の途中で転用した場合には、賃貸を終了した月までの減価償却費を計算しその分を経費として計上します。
年初から転用した場合には、減価償却の計算がないため、削除しても問題はありません。
しかし、昨年記載されていた減価償却資産がいきなり一覧から消えていると、
税務署から問い合わせや税務調査の対象にされる可能性があります。
減価償却は「0」として、備考欄などに「自宅転用」と記載しておくことが、誤解を避けるために有効です。
【消費税に関する注意点】
なお、自宅転用した場合には、消費税が課税される可能性があるので、ご注意ください。
消費税法には「みなし譲渡」という規定があります。
消費税法第4条5項1号
「次に掲げる行為は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす。
一 個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを
家事のために消費し、又は使用した場合における当該消費又は使用」
つまり、実際に譲渡していなくても、「譲渡したもの」とみなされ、消費税が課税されるということです。
みなし譲渡に該当する例として、「個人事業者が事業用資産を家事用に転用した場合」があります。
棚卸資産以外の資産がみなし譲渡に該当する場合、転用時点の時価が課税標準額(対価)となります。
今回のケースでは、建物に未償却残高があれば、その金額が消費税の課税対象となります。
そして、転用した年に消費税の課税事業者であれば、消費税の申告が必要になりますので、十分ご注意ください。
2025/07/11
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士