固定資産税が高い。鑑定評価を使って、土地の固定資産税は下げられる?
コロナ後から土地の固定資産税が上昇し続けています。
市役所に行って、計算誤りがないかを確認しましたが、計算式を見る限り誤りはないようでした。
しかし、このまま固定資産税が上昇するのには不安があります。
不動産鑑定士に鑑定評価を頼んで、固定資産税評価額が高いことを証明すれば、固定資産税は下がりますか?
固定資産税は鑑定評価では基本的に下がらず、評価の見直しには限られた手続きが必要です。
(1)価格に不服がある場合の手続き
まず、固定資産税の計算などに誤りがなく、価格に不服がある場合には、「審査の申出」という手続きを行わなければなりません。
これは、固定資産課税台帳の登録価格に不服がある場合に、固定資産評価審査委員会に対して修正を求めることができる手続きです。
審査の申出ができる期間:
原則として、固定資産課税台帳に価格等を登録した旨の公示の日から、
納税通知書の交付を受けた日後60日までの間です。
➡ 期間が決められているため注意が必要です。
また、固定資産税評価額は3年ごとに評価替えされます。
- 評価替えの年 → すべての土地について審査の申出が可能
- 評価替えのない年 → 原則、審査の申出不可(特別な事情がある場合は可能)
令和6年が評価替えの年でした。
令和7年は評価替えの年ではないため、原則、審査の申出ができないことになります。
(2)不動産鑑定で固定資産税が下がるのか?
次に、審査の申出の際に、不動産鑑定士が鑑定した価格を根拠に、
固定資産税評価額が下げられるのかについてですが、
こちらはかなり難しいと考えた方がよいでしょう。
実際、納税者側の主張が認められるケースはほぼありません。
固定資産審査委員会の決定に不服がある納税者は、
その決定があったことを知った日から6カ月以内に、
取消しの訴えを裁判所に提起することができます。
しかし、裁判でも、
「鑑定評価額が適正とは認められない」
という判断がされています。
その理由は以下のように述べられています:
「評価基準及び取扱要領は、課税技術上可能な限り公法上の制限を考慮しようとしているから合理的であり、
従って、評価基準及び評価要領による評価額に多少の不均衡が生じても、その評価は適正なものと解すべきである」
つまり、固定資産税評価額は鑑定評価額とは別物であり、
評価基準に基づいている限り「適正である」とされているのです。
したがって、鑑定評価により固定資産税評価額を下げるのは非常に困難と考えるべきです。
固定資産税を下げたい場合には、
改めて評価の計算に誤りがないかを確認することをおすすめします。
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士