不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

法人化で建物を法人名義にすると、建て替えは個人名義で建築できなくなる?

法人化を検討しています。
アパートの建物だけを個人から法人に売却して法人名義にしようと思っています。

この場合に、将来アパートの建て替えを行うときには、どうなるのでしょうか?
個人名義で建築することはできないのでしょうか?

土地が個人名義、建物が法人名義であっても、建物の建て替えは、特段何も変わることはありません。個人名義で建築することも可能です。

建て替えは、大きく分けて以下の3つの手順で行われます。

①入居者の立ち退き

まず、既存の建物を解体し、新しい建物を建築するためには、入居者に立ち退いていただく必要があります。
この際、賃貸借契約に基づき、法人が立ち退き交渉を行い、立ち退き料を支払うことになります。

②建物の取り壊し

入居者の立ち退きが完了したら、建物の取り壊しを行います。
この作業は、解体業者に依頼することになります。

解体工事は、法人が所有する建物に対して行うため、法人の費用で行うことになります。

③新しい建物の建築

建物の取り壊しが完了したら、新しい建物の建築が始まります。
建物がなくなっている状態なので、個人の土地名義に誰の名義で建築するかは、自由に決めることが可能です。

主に相続税の引き下げを早めにやる必要があるかによって、個人名義で建築するか、法人名義で建築することを検討することになると思います。

●個人で建築する場合
建物の相続税評価の圧縮、借入金の相続財産からの控除によって、大幅に相続税を減らすことが可能です。
相続までの期間に余裕がなければ、個人で建築した方がよいかもしれません。

●法人で建築する場合
相続税の圧縮効果はありませんが、家賃収入が法人に入ってくることにより、所得税・個人住民税の節税になる可能性があります。
また、相続までの期間に余裕があれば、個人に家賃収入が貯まらないことによる相続税の上昇防止に繋がります。

以上のように、どちらで建築するかは建て替え時に検討すればよいことになります。

2024/09/20

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧