不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

個人購入と法人購入のメリット・デメリット

個人として、1000万円単位の大きな現金が入る予定です
このお金を個人として使って中古アパートを買うのと、法人に貸して法人として 中古アパートを買う場合の、それぞれのメリット・デメリットを教えてください

個人と法人で購入する場合のメリットとデメリットは次の通りです。

1.個人購入のメリット

(1)所得税の節税

中古アパート購入で減価償却が大きく取れることで、赤字分を給与など他の所得と損益通算して、所得税を節税することが可能です。

(2)相続税の節税

現金で所有することよりも、不動産で所有することの方が相続税評価が低くなります。
評価が低くなる分、相続税の節税になります。

2.個人購入のデメリット

(1)減価償却がなくなった後の税金の負担

減価償却が取れるうちはよいですが、減価償却がなくなった後は、所得が大幅に増える可能性があります。
給与所得など他の所得がある場合には、所得が上乗せになり、高い税率で課税されることになります。

(2)個人での運営管理の負担

個人で所有する場合、ご自身が高齢になっても運営管理しなければなりません。認知症になると賃貸経営自体が立ち行かなくなる可能性があります。
民事信託などの対策をしておく必要があります。

3.法人購入のメリット

(1)所得税の節税

個人の所得税率よりも、法人の法人税率の方が低い場合には、法人で所有させた方が節税になります。
役員に家族を入れて役員報酬を出せば、所得分散の効果によってさらに節税が図れます。

(2)相続税の節税

個人で不動産を購入するよりも、法人で不動産を購入する方が相続税の評価(株価評価)は低くなります。
ただし、不動産購入した後3年経過しないと評価が下がらないため、即効性はありません。

4.法人購入のデメリット

(1)運営費用の負担

法人の場合、赤字でも均等割(最低約7万円)がかかります。また法人税の申告を税理士に依頼する場合に税理士報酬(一般的には個人の場合よりも高いことが多い)がかかります。

(2)貸付金が残っていると相続税が課税

法人への貸付金が残ったまま相続を迎えると、相続財産として相続税が課税されます。
相続までに貸付金は返済してもらうことや生前贈与して相続税の課税を受けない対策が必要です。

ご自身の状況や目的によってメリット・デメリットが異なることになるかと思います。
具体的な判断をするには税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

2024/08/16

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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