減価償却費は魔法の経費?
減価償却費は魔法の経費とよく聞きます。
やっぱり節税するなら不動産投資がよいのでしょうか?
減価償却は魔法の経費ではありません。
よく減価償却は支出のない経費と言われますが支出はあります。
減価償却を計上する年と、支出する年が異なることはありますが支出を伴うことには変わりありません。
例えば、建物を考えてみてください。
建物を建てるのに建築費を払っていると思います。
借り入れで建築していれば、返済が後からやってきます。
つまり、減価償却費とは、経費と支出のタイミングをズラすことができるものというのが正解です。
それであれば、経費を使うのと何が違うのでしょうか?
例えば、20万円の広告宣伝費を使うのと1,000万円の建物を購入するので比較すると、お金は出ていくのは一緒。
経費にするタイミングが支出したときなのか、分割して経費にしていくかの違いです。
建物は「収益を生む」という考え方もありますが、広告宣伝費だって収益を生んでいる可能性はあります。
「減価償却は魔法の経費」という言葉は、米国から生まれたのではないかと推測します。
海外の建物は、「価値が減らない」のです。
築10年、築50年、築80年でも、それほど建物の価値は下がらないのです。
5,000万円の建物を減価償却して、耐用年数の期間で経費として使い切ったとしても、売却したときに5,000万円で売却できる可能性があるのです。
経費として使い切っても価値が残る。
これが魔法の経費の正体と思います。
しかし、日本ではどうでしょうか?
日本では、年数に応じて建物の価値下がります。
法定耐用年数を過ぎた建物は、金融機関も価値を見てくれません。
もし購入した以上で売却できたとしても、それは土地の値上り益なのです。
土地の値段が上がったものを、建物の価値が減っていないと誤解しているのです。
高級車など、一部価値が下がらない資産もあります。
これらの減価償却費については魔法の経費と言えるでしょう。
しかし、建物については、魔法の経費とは言えないのではないでしょうか。
2022/10/28
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士