不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

居住用物件を3年以内に事務所に賃貸したら消費税還付できる?

税制改正で、居住用賃貸建物を購入した場合の消費税還付ができなくなりましたが、3年以内に事務所に賃貸した場合は、還付が受けられると聞きました。
本当でしょうか?

居住用賃貸建物は、原則、消費税の仕入税額控除ができなくなりました。

例外として、居住用賃貸建物を取得した日から第3年度の課税期間の末日までに、課税賃貸用に供した場合には、課税賃貸割合分の仕入税額控除の調整ができることになります(売却した場合の例外もあります)。

居住用賃貸建物に係る消費税額×課税賃貸割合=調整税額

課税賃貸割合=分母のうち課税賃貸用の家賃収入の合計/居住用賃貸建物の第3課税期間までの間の家賃収入の合計

ざっくりと要約すると
居住用賃貸建物を購入した後、3年以内に事務所に賃貸するなど課税売上げが発生した場合、3年目に、居住用建物に係る消費税×課税賃貸割合分だけを還付の対象とするということです。

【例】1億1,000万円の建物(消費税1,000万円)を購入

1年目 家賃収入 800万円(うち事務所家賃0円)
2年目 家賃収入 800万円(うち事務所家賃200万円)
3年目 家賃収入 800万円(うち事務所家賃400万円)

課税賃貸割合=(0+200万円+400万円)/(800万円×3年)=25%

調整税額=1,000万円×25%=250万円

250万円が3年目の消費税の計算の際に、仕入税額控除の対象になる。

この規定は取得時に課税事業者になっていないと適用されません。
免税事業者が取得して、その後に課税賃貸収入が発生しても還付の対象にならないためご注意ください。

2021/08/11

今の日本の人口動向に沿って設計「新築一棟投資法」とは?解説本無料プレゼント

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧