不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

繰り上げ返済で期間短縮した場合、融資保証料はどう処理する?

賃貸アパートを建築したときに、住宅金融支援機構からの融資(35年)に対して住宅改良開発公社の保証を「繰上償還時返戻なし」で受けています。

15年経過して手元資金が増えたことから、一部繰上償還を考えています。
一部繰上償還を期間短縮型で行った場合、短縮期間に対応する保証料はどのように処理することになるのでしょうか。

短縮期間の保証料が返金されるかどうかによって変わります。

融資のための保証料を支払った場合、将来繰上げ返済した場合に、返還される場合とされない場合があります。

返還される場合は、前払費用として資産計上し、その年に対応する期間分を期間按分し、経費計上していきます。

返還されない場合は、繰延資産として資産計上し、保証期間で均等に償却していきます。
(その年に対応する期間分だけ経費にできるのは、前払費用と同じ)

繰延資産の場合、途中で繰上げ返済しても返還されないことになるため、支払った金額は変わりません。

しかし、保証期間が変わるので、その後の償却費を変更後の保証期間に変更することになります。

下記の繰延資産の通達に準じて、償却期間を変えて償却することになると考えます。

借り入れ当初に保証期間35年、保証料350万円を払った場合。

《繰上げ返済前までの処理》
350万円×1/35=10万円を年間償却。

《15年後に繰上げ返済。保証期間が10年になった場合の繰上げ返済後の処理》
350万円-10万円×15年=200万円(残存保証料金額)
200万円×1/10=20万円を年間償却。

固定資産を利用するために支出した繰延資産で当該固定資産の耐用年数を基礎として償却期間を算定しているものにつき、その後当該固定資産の耐用年数が改正された場合には、その改正された年以後の当該繰延資産の償却期間は、改正後の耐用年数を基礎として算定した期間による。
所得税基本通達 50-2(繰延資産の償却期間の改訂)

2021/03/24

人口動向・賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは?無料解説書籍はこちら

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧