複数のうち1つに本店登記。事業所税は賃貸不動産全体に課税される?
新規法人で、1棟マンションを購入します。
わけあって、本店の住所を所有している物件にしています。
本店所在地を管轄する市から事業所税の申告書が送られてきました。
本店の住所はこの物件に置いてますが、物件のなかに事務所があるわけではありません。
この賃貸マンションは事業所税の対象になるのでしょうか?
ちなみに物件の床面積が登記簿上は964.82㎡なのですが、建築確認等にかかる台帳上は1000.62㎡となっています。
居住の用に供される家屋は事業所等に該当しないので、事業所税の対象になりません。
事業所税とは、一定規模以上の事業を行っている事業主に対して課税される税金で、事業所等の床面積を対象とする資産割と従業者の給与総額を対象とする従業者割とに分かれます。
人口30万人以上の都市において、個人、法人にかかわらず、一定の規模以上の事業所に課すことになっています。
その使途は法律によって定められ、道路、学校、上下水道など整備事業、公害防止、防災事業に充当されるものになります。
市ごとに課税される基準が異なる可能性がありますが、東京23区の場合は下記のように計算されます。
資産割
<対象>
23区内全域の事業所等の床面積の合計が1,000平方メートル(免税点)を超える規模で事業を行う法人又は個人事業所
従業者割
<対象>
23区内全域の事業所等の従業者数の合計が100人(免税点)を超える規模で事業を行う法人又は個人従業者
納める時期と方法
法人の場合は事業年度終了の日から2ヵ月以内、個人の場合は事業を行った年の翌年3月15日までに、23区内における主たる事業所等の所在地を所管する都税事務所に申告して納めます。
免税点の判定
法人の場合は事業年度末日の現況により、個人の場合は12月31日の現況により、資産割、従業者割ごとに判定をします。
ご質問の件ですが、事業所税の対象となる事業所は事務所又は事業所をいい、所有して使用しているものだけでなく借りて使用している場合も含まれます。
具体的には、事務所、店舗、工場、倉庫などです。
アパート・マンションなど人の居住の用に供される家屋は事業所等に該当しませんので、事業所税の対象になりません。
ただし、アパート等の一室を営業所として使っているような場合は、その部分が課税の対象になります。
よって、マンションの面積が1,000㎡を超えたとしても、事業所税はかからないことになります。
2020/02/20
不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士