不動産投資Q&A

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えするコーナーです。

遺産分割協議が成立するまでに得た賃料収入の確定申告方法は?

今年1月に父が亡くなりました。

相続人は私を含めた子供3人です。今年の10月に遺産分割協議が成立し、父が持っていた賃貸マンションは私が相続することになりました。

来年の確定申告では、私だけが相続した後の賃料収入を確定申告すればよいのでしょうか?

遺産分割前は相続分で計算、遺産分割成立後は単独所有として確定申告。

遺産分割協議前の確定申告について
相続から遺産分割が確定するまでの期間については、各相続人がそれぞれの相続分に応じて所有していたことになります。

したがって、その期間の賃料は各相続分(今回の場合3分の1)で分割した賃料収入および経費で計上することになります。

遺産分割後は、単独で所有しているので、全ての賃料収入及び経費を計上することになります。

  • 1月~10月(相続~遺産分割成立前):相続分で計算
  • 10月~12月(遺産分割成立後~年末):単独所有として計算して確定申告

1.遺産分割前の賃料

民法909条では、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる」としています。では、相続後に発生した賃料についても、遺産分割によって確定した所有者にさかのぼって帰属するのでしょうか?

遺産は、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであった、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである
平成17年9月8日最高裁判所の判決

つまり、相続後の賃料収入は、遺産とは別個の財産なので、遺産分割によって効力がさかのぼって帰属せず、各相続分に応じて取得するものになります。

なお、遺言書で賃貸物件を相続する人を指定していれば、その財産の帰属は、遺産分割をせずとも、相続発生時から、その指定された人になります。賃料収入も相続分で分ける必要がありません。

2.共有になってしまうことのメリット・デメリット

遺産分割協議が成立するまでは、共有状態になり、各相続分で各相続人が確定申告することになります。その期間が長ければ長いほど、各相続人に帰属する収入が大きくなってしまいます。

そうなることで、所得分散ができ、相続人全体の税金が抑えられたり、各相続人が青色申告の特典が受けられたりするなどのメリットがあります。

しかし、別の収入が既にある相続人に、賃料収入が帰属してしまうと、所得が合算されて、高い税率が適用されることで、結果的に高い税金になってしまうこともあります。

また、別の家族の扶養になっている相続人に、賃料収入が帰属してしまうと、収入によっては、扶養から外れてしまうことも考えられます。

その方が遺産分割で所有者として確定するのであれば仕方ないのでしょうが、所有者にならないのであれば、確定申告、税金、社会保険の負担が増えてしまいます。
その点を考慮して、遺産分割を早めに成立させることも必要かと思います。

失敗と成功をわけるのは正しい知識。 不動産投資の7つのポイントとは?

渡邊 浩滋
渡邊 浩滋

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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