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大阪圏商業地は前回より下落/都市圏地価予測指数

インベストオンライン編集部
大阪圏商業地は前回より下落/都市圏地価予測指数

株式会社三友システムアプレイザルは、半期毎に実施している独自の調査をもとにしている「三友地価予測指数(2020年3月調査)」を発表しました。

調査は2月が実施期間となりましたが、その時点では都市圏の商業地・住宅地ともに上昇傾向となっており、新型コロナウイルス感染症の影響は僅かであったようです。

「三友地価予測指数」は全国の不動産鑑定士136名を対象に行われた調査をもとに、現在と今後の地価動向の見方を指数化したものです。
以下、地価動向の「現在」は過去6ヵ月の推移を踏まえた現時点における地価の趨勢(ベクトルの角度的なもの)を、「先行き」は6ヵ月先のそれを示します。

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コロナの影響は3月時点の商業地においては僅か

三大都市圏商業地の地価予測指数です。
三大都市圏商業地
三友地価予測指数《 2020年 3月調査 》より加工して作成

三大都市圏の商業地指数の「現在」は、東京圏83.9、大阪圏73.2、名古屋圏84.4でした。
前回と比較すると東京圏は上昇大阪圏は下落名古屋圏は上昇となっています。

「先行き」については東京圏・大阪圏・名古屋圏のいずれも現在より慎重な見方が強まっています。

三大都市圏の商業地指数の推移▼
商業地地予測指数

三大都市圏の商業地については、下記のような見方がされています。

三大都市圏の商業地について

東京圏

東京は上昇が長期間続いています。
景気の節目とされた2020年も、3月時点では上昇が継続しました。

東京のオフィス市場では、大量の新規供給にもかかわらず、Aクラスビルの空室率は4四半期連続で1%を下回り、成約賃料も4万円/坪前後の水準を維持しているとのことです。

ただし、中国経済の減速や、新型コロナウイルス感染症によるインバウンド需要の減退など、国内経済が不安材料を抱えていることは見過ごせません。
今後、個人消費や設備投資が低迷して企業業績が伸び悩めば、賃料負担力も徐々に弱まり、オフィス賃料は長期的には下落局面に入ることが予想されます

大阪圏・名古屋圏

大阪や名古屋も現在はタイトな状況ですが、東京が下がり始めれば、下がることになるでしょう。

今回の調査で大阪圏での指数が下落していますが、これは関西圏がインバウンドへの依存度が高く、新型コロナウイルス感染症に対する警戒心がほかの圏域よりも強かったものが要因として考えられます。

三大都市圏全体

また、ネット通販を支える物流業界では、顧客ニーズの多様化に伴い、より先進的な施設に対する需要が高まっています。

このため、大量の新規供給にもかかわらず、全体として空室率は下がっており、Jリートの運用資産高も約3.5兆円とオフィス(約9.4兆円)、商業施設(約3.8兆円)に次ぐ規模にまで成長しているとのことです。

三大都市圏はいずれも上昇/東京は賃貸市場も堅調

三大都市圏住宅地の地価予測指数です。
三大都市圏住宅地
三友地価予測指数《 2020年 3月調査 》より加工して作成

三大都市圏の住宅地指数の「現在」は、東京圏が70.9、大阪圏が64.3、名古屋圏が81.3でした。
前回と比較すると東京圏は上昇大阪圏はやや上昇名古屋圏は上昇となっています。

「先行き」については商業地同様、東京圏・大阪圏・名古屋圏いずれも現在より慎重な見方が強まっています。

調査結果/三大都市圏の住宅地指数▼
住宅地地価予測指数

住宅地については、下記のような見方がされています。

三大都市圏の住宅地について

首都圏では、新築マンションの売れ行きが鈍っています
2020年を見据えた開発ラッシュに消費増税が重なったこともあり、最近は「売主が個人であれば消費税のかかない」中古マンションに人気が集まっています。

日本人はもともと新築志向が強いですが、最近は外国人投資家の「売り」で中古市場でも優良物件が増えており、今後は戸建住宅も含めて中古市場が欧米並みに活性化するのではないかという見方も強まっているようです。

賃貸市場については、東京では人口流入が続いていることもあり、物件数が増えているにもかかわらず、成約賃料は上昇傾向を維持しています。

今回の調査結果では新型コロナウイルス感染症の影響は僅かにありながらも、現時点では地価動向は全体的に上昇傾向であるほか、物流業界のニーズの高まりや、住宅地における東京圏の賃貸市場の活発化など、ポジティブ要素も見受けられました。

新型コロナウィルスによる影響が地価や不動産業界へ及ぼすのは時間の問題だと思われますが、現実的には、賃貸物件の増加は緩やかになったとしても東京圏の賃貸需要が下がるようなことは考えにくいのではないでしょうか。

 調査方法

【調査実施期間】 2020年2月3日 ~ 2月28日 (調査は半期毎に実施)
【調査対象者数】 ㈱三友システムアプレイザルと提携する全国の不動産鑑定士136名
【対象者の内訳】
東京圏 31名(22.8%) 〔東京・神奈川・埼玉・千葉〕
大阪圏 28名(20.6%) 〔大阪・京都・兵庫・奈良〕
名古屋圏 8名( 5.9%) 〔愛知・三重〕
その他の地方圏 69名(50.7%) 〔上記以外〕
【指数算出方法】
三友地価予測指数は、商業地・住宅地ともに地価の先行指標となり得る高度利用地を前提とし、地価の趨勢を上昇(100)・やや上昇(75)・横ばい(50)・やや下落(25)・下落(0)の5段階の指数で評価し、指数毎に回答者比率を乗じて加算した結果である。
地価動向の「現在」は過去6ヵ月の推移を踏まえた現時点における地価の趨勢(ベクトルの角度的なもの)を、「先行き」は6ヵ月先のそれを示すものである。なお、本指数は地価動向の見方に関する強気・弱気の程度を指数化したものであり、各圏域の地価水準自体を表すものではない。
また、指数は50ポイントが強気(上昇)・弱気(下落)の分かれ目となるが、指数の推移と各圏域内における実際の地価変動とは必ずしも一致するものではない。

三友地価予測指数(2020年3月調査) | さんゆう資料室

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