東京・大阪圏上昇、名古屋圏は一段落 地価予測指数
株式会社三友三友システムアプレイザルは9月25日、半期毎に実施している独自の調査をもとにしている「三友地価予測指数(2018年9月調査)」を発表しました。
「三友地価予測指数」は全国の不動産鑑定士164名を対象に行われたアンケート調査をもとに、現在・今後の地価動向の見方について指数化したものです。
三大都市圏の商業地・住宅地のピッチはそれぞれインバウンドや再開発事業などの影響で東京圏・大阪圏・名古屋圏でそれぞれ結果に差が生じています。
(以下、「現在」は過去6カ月の推移を踏まえた現時点における地価の趨勢(ベクトル的なもの)、「先行き」はその6ヵ月先を示します。)
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商業地は東京圏と大阪圏で上昇ピッチ/名古屋圏は下落
三大都市圏の商業地指数は、前回との比較では「現在」東京圏・大阪圏がやや上昇、前回急上昇であった名古屋圏は下落となりました。
「先行き」については東京圏・大阪圏・名古屋圏いずれも現在より下落するという見方が増えています。
調査結果/三大都市圏商業地指数▼
東京圏 | 大阪圏 | 名古屋圏 | |
---|---|---|---|
前回調査 | 78.4 | 78.2 | 81.8 |
現在 | 79.2 | 79.2 | 78.9 |
先行き | 63.2 | 65.3 | 59.6 |
三大都市圏の商業地指数の推移▼
商業地指数について、三友システムアプレイザルは下記ような見方をしています。
東京
東京のオフィス市場では、昨年の2倍の新規供給が予定されているが、最近は既存ビルの二次空室に対するリーシング活動が早まっていることもあり、現段階では空室率は落ち着いている。
最近の好調な市況を反映し、定期借家契約が増えており、法定更新(継続賃料)とは異なる再契約(新規賃料)に際して賃料が値上げされる事例も増加している。
2020年まで大量供給が続く市況下では潮目が変わる可能性は否定できない。
大阪
大阪で2018年に竣工する大型ビルは「なんばスカイオ」のみと、東京とは違ってオフィス市場は非常にタイトな状況。
関西では訪日外国人観光客の増加率が高く、ホテル等の宿泊施設の建設ラッシュがオフィスビルの新規供給に影響を及ぼしているといった市況下において、Aクラスビルは満室状態。テナント企業間の空室確保競争は一層激化している。
名古屋
名古屋は再開発事業が一段落。大型ビルの新規供給の予定は当面ない。
最近はリニア中央新幹線工事に伴うテナント企業の立ち退きにより、名駅周辺では移転需要が強まっている。
住宅地は名古屋圏のみ上昇/東京圏下落、大阪圏は横ばい
三大都市圏の住宅地指数は商業地とは対照的に、東京圏が下落、大阪圏はほぼ横ばい、名古屋圏は上昇となりました。
「先行き」は商業地と同じく、現在より下落するという見方が増えています。
調査結果/三大都市圏住宅地指数▼
東京圏 | 大阪圏 | 名古屋圏 | |
---|---|---|---|
前回調査 | 69.6 | 66.2 | 77.3 |
現在 | 67.2 | 66.4 | 80.8 |
先行き | 52.9 | 57.7 | 61.6 |
三大都市圏の住宅地指数の推移▼
住宅地については、下記の見方をしています。
2018年は女性専用シェアハウス業者が経営破綻し、多くのサラリーマン大家がデフォルト状態となった。
金融庁が警鐘を鳴らしたこともあり、地方銀行を主とした金融機関はアパートローンに対する融資姿勢を硬化させている。
最近は「融資額は売買代金の70%まで」とされることが多く、頭金のない人に対するフルローンや、売買代金に加えて不動産を取得する際の諸費用まで融資するオーバーローンは影を潜めている(金利も多少は上がっている)。
しかし市場にはすでに大量のアパートが供給されており、今後は賃料や利回り以上に「長期的な空室率」の見極めが重要なポイントとなりそうである。
いかがでしたでしょうか。
前回調査の時点では東京圏から大阪圏へ、そして名古屋圏へと投資マネーが指向していると考えられていた商業地ですが、今回の調査では名古屋圏の上昇の一段落、オフィス市場が好況な東京圏やインバウンド需要が好調な大阪圏の上昇ピッチが目立った結果となりました。
「先行き」についてはいずれも慎重な見方がされているものの、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までは大量供給が続く市況です。潮目が変わるのはいつなのか、オフィス市場、住宅地とともに注目されます。
調査方法
【調査実施期間】 2018 年8月1日~8月31日 (調査は半期毎に実施)
【調査対象者数】 ㈱三友システムアプレイザルと提携する全国の不動産鑑定士 164 名
【対象者の内訳】
東京圏 36 名(22.0%) 〔東京・神奈川・埼玉・千葉〕
大阪圏 36 名(22.0%) 〔大阪・京都・兵庫・奈良〕
名古屋圏 13 名( 7.9%) 〔愛知・三重〕
その他の地方圏 79 名(48.1%) 〔上記以外〕
【指数算出方法】 三友地価予測指数は、商業地・住宅地ともに地価の先行指標となり得る高度利用地を前提とし、地価の趨勢を上昇(100)・やや上昇(75)・横ばい(50)・やや下落(25)・下落(0)の 5 段階の指数で評価し、指数毎に回答者比率を乗じて加算した結果である。
地価動向の「現在」は過去6ヵ月の推移を踏まえた現時点における地価の趨勢(ベクトルの角度的なもの)を、「先行き」は6ヵ月先のそれを示すものである。
なお、本指数は地価動向の見方に関する強気・弱気の程度を指数化したものであり、各圏域の地価水準自体を表すものではない。
また、指数は 50 ポイントが強気(上昇)・弱気(下落)の分かれ目となるが、指数の推移と各圏域内における実際の地価変動とは必ずしも一致するものではない。
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