不動産投資コラム

初期費用は1500万円~、太陽光発電投資に未来は

2020/02/16
行政書士棚田 健大郎
初期費用は1500万円~、太陽光発電投資に未来は

これまで2回にわたって、太陽光発電投資のメリットとデメリットについて解説してきました。

土地を利用する点については不動産投資と共通していますが、運用面については大きく特徴が異なることがお分かりいただけたかと思います。

最終回となる今回は、太陽光発電投資の初期費用やコスト、始める際のポイントなどについて解説します。

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太陽光発電に必要な初期費用の相場

不動産投資は物件を購入した後についても、管理コストや修繕コストなどの出費が発生しますが、太陽光発電投資については導入にかかる初期費用が投資全体のコストの大半を占めることになります。

例えば、一般家庭の屋根に設置するタイプのソーラーパネルの場合、普通の一軒家であれば初期費用の相場は次の通りです。

【一般家庭用太陽光発電設備の初期費用相場】
ソーラーパネル:20枚
導入費用:180~200万円程度
kwあたりの相場:35~40万円程度

一般家庭用の太陽光発電設備の初期費用としては、およそ200万円程度となります。

一方、太陽光発電投資目的の初期費用となると規模が大きくなるため、ソーラーパネル1枚あたりのコストを下げることが可能です。
設置面積にもよりますが、kwあたりの相場にすると一般家庭用に比べ10~20万円程度割安になります。

高圧受電設備の導入費用

50kwを超える規模の太陽光発電設備になると、ソーラーパネルのほかに「高圧受電設備」の設置が必要になります。
50kwを超えると電力会社に売電する際に「高圧連係」という契約を締結する必要があり、そのための設備として高圧受電設備が必要になるのです。

導入費用は100kwあたり100~150万円程度必要で、そのほかにランニングコストとして年間の保守点検費用に50~80万円ほどかかります。

高圧連係が必要かどうかによって、初期費用とランニングコストが大きく変わってきますので十分注意しましょう。

逆算して考えることがポイント

個人の方が始めると考えた場合、規模にもよりますが、太陽光発電投資の初期費用は概ね1,500~2,000万円くらいが相場になります。

太陽光発電投資で大切なことは、売電料金から逆算して利回りを考えて投資判断をすることです。

売電料金は一定額でしかも値下がり傾向にあるので、20年間で得られる総収益については投資段階でほぼ確定します。
災害リスクなどで想定よりも少なくなることはあっても、増えることはほとんどないと考えたほうが無難でしょう。

要するに、初期費用を見積もってから利回り計算するのではなく、想定される総収益と希望する利回りから投資してよい初期費用を逆算することで、その投資に見合った初期費用の金額を導き出すことができるのです。

予想総収益に比べて高すぎる初期費用だと、投資段階で失敗が確定してしまいますので十分注意しましょう。

廃棄費用の強制積立て制度に注意

前回、売電料金が半額以下に…太陽光発電投資のリスクでも触れましたが、将来必要となるソーラーパネルの廃棄費用の強制積み立て制度がスタートする見込みです。

強制積み立て制度では、事業者から直接積立金を差し引くそうなのでキャッシュフローや利回りを計算する際には、差し引かれる積立金についても盛り込んで計算する必要があります。

外部積立における積立金の金額水準や取り崩しする際の条件については、今後制度が確定し次第徐々に発表になると思いますので必ずチェックしましょう。

太陽光発電投資の始め方

太陽光発電投資は不動産投資のように投資家自らが物件をゼロから選定する方法ではなく、太陽光発電業者を選定することから始めるのが一般的です。

太陽光発電業者は土地付き、融資付き、ファンドなど業者によって特徴がありますので、自分自身の事情にあった業者を選定してまずは話を聞いてみるとよいでしょう。

業者選びのポイント

太陽光発電業者を選ぶ際には、次の点について確認すると、業者の質がある程度見えてきます。

年間のメンテナンス回数

業者によって現地のメンテナンス回数が大きく異なります。
特に住んでいる場所から離れている土地で太陽光発電をする場合は、できるだけ毎月1回はメンテナンスに行ってくれる業者がよいでしょう。

施工実績

過去の施工件数についてホームページなどでチェックが必要です。できれば、単に件数が多い業者よりも長く安定的に続けている業者の方がよいでしょう。

保証制度

自然災害時の修繕費用の保証や、悪天候が続いた場合の損失保証など、独自の保証サービスを提供している場合がありますので、そのあたりのサービス内容についてもチェックしましょう。

結局、太陽光発電投資はどうなの?

全3回にわたって太陽光発電投資について解説してきましたが、「結局のところ太陽光発電投資は不動産投資に比べてどうなのか」、という点が一番気になるところだと思います。

結論からいうと、太陽光発電投資はここ数年の間に売電料金が大幅に値下がりしており、今後も値上げの保証もないことから、数年前に話題になったような高利回りを実現することは難しいため、投資する際には不動産投資以上に慎重な判断が必要といえるでしょう。

例えば、土地購入から考えた場合の利回りとしては10%くらいで回っているものが多いようですが、今後、売電料金が下がればさらに利回りは低くなると考えられます。

完工物件がおすすめ

これから太陽光発電投資を始めるのであれば、すでに完工している土地付き太陽光発電設備に投資することをおすすめします。

すでに完工して稼働している案件であればこれまでの発電実績がわかるため、より正確性な利益予想ができる点がメリットです。

まとめ:太陽光発電投資のポイント

太陽光発電投資は不動産投資でいうところの空室リスクや家賃滞納リスクがなく、原状回復工事などの不定期な出費も少ないため、不動産投資よりも投資時点での総収益が想定しやすいことが最大の特長です。

太陽光発電投資は投資時点において、コストの大部分である初期費用をいくらに設定するかで投資利回りがほぼ確定します。

一旦投資すると不動産投資ほどの流動性はなく、売却して損切することが難しいため、利回り計算をして初期費用がオーバーしていると感じたら、たとえ融資が利用できたとしても「買わない」という決断も重要になるでしょう。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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