生産緑地の解除で土地が安くなる!? 2022年問題
あなたの不動産にも影響するかもしれない「生産緑地」の2022年問題。
前回は生産緑地とは?2022年問題とメリット・デメリット について解説いたしました。
今回は、関連の法制度や不動産投資するうえでのポイントについてお話しいたします。
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関連法制度の改正により、2022年問題の影響は限定的か
ここまで解説してきたように、2022年に生産緑地の宅地化が一気に進むのではとの懸念が出ていますが、直近の関連法の改正などによって、その影響はかなり限定的になるのではとの見方がここにきて強まってきているようです。
そこで、ここでは生産緑地法関連の直近の改正と、それによって予想される影響について解説したいと思います。
30年経過後も10年延長が可能に
生産緑地法の一部改正により、生産緑地の指定から30年を経過した場合でも、買取申し出できる時期をさらに10年延長することが可能になりました。
具体的には、市町村長が農地として引き続き保全することが、都市環境などの観点から有効であると判断した生産緑地について「特定生産緑地」として指定します。
特定生産緑地として指定を受けた場合は、市町村長への買取申し出を10年延長できるようになり、さらに10年後についても再延長が可能となります。
特定生産緑地の指定を受ければ、固定資産税の優遇についても引き続き受けられるため、基本的にはこれまでどおり農地として管理し続けることができます。
特定生産緑地の指定によって、2022年を境に生産緑地が宅地化になる割合は、行政側である程度のコントロールが可能になるため、当初予想されていたような大規模な地価変動は生じず、影響はかなり限定的になると予想されます。
生産緑地の要件緩和
既存の生産緑地の延長措置と合わせて、新規に生産緑地として指定を受ける要件についても、今回の関連法改正によって緩和されました。
ポイントは以下の2点です。
従来よりも狭い農地でも生産緑地に指定が可能に
これまで生産緑地の指定を受けるためには、500m² という面積要件がありましたが、今回の法改正によって300m² を下限として市町村の条例によって緩和できるようになりました。
よって、市町村で条例を定めれば、300m² の農地でも生産緑地の指定が可能になりました。
生産緑地内で直売所や農家レストランの営業が可能に
これまでは生産緑地内については、農産物の生産や出荷などに関連する施設などを除いて、建築物の新築が制限されていました。
それが今回の生産緑地法の改正によって、以下のような施設について設置することが可能になりました。
- 直売所
- 農家レストラン
- 製造工場
- 加工工場
これらの施設については、生産緑地の指定を受けても設置することが可能になったため、農地としての運用の幅が広がるでしょう。
今回の関連法の一部改正により、「生産緑地の延長措置」と、新規の「生産緑地指定要件の緩和」が盛り込まれました。
よって、2022年問題については、大規模な地価変動を及ぼすほどの影響力は生じない可能性が高まったと言えるでしょう。
不動産投資をする上でのポイント
関連法の改正によって、不動産投資におよぼす影響についても、かなり限定的になることが予想されますが、そうは言ってもやはりリスク管理はしておくべきでしょう。
では、今回の2022年問題で、できるかぎりメリットだけを享受するにはどうしたらよいのでしょうか。
生産緑地のデメリットを受けないためには、現時点で生産緑地が多く存在している地域への不動産投資を避けることです。
例えば、23区における生産緑地の面積割合を調べてみると、練馬区43.7%、世田谷区21.3%と地域によってかなりの偏りがあることがわかります。
ですので、賃貸の需給バランスが崩れるおそれのある、これらの地域を避けつつ、ほかの地域で土地値が下がった物件を見つけて投資をしていくことが、万が一の際のリスクヘッジとして有効でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
関連法の一部改正により、2022年問題の影響については、かなり限定的になることが予想されますので、今から慌てて所有している物件を売却する必要はないでしょう。
ただ、少なからず、例年よりも多くの土地が市場に出てくる可能性については念のため考慮しておいたほうがよさそうです。
もしも2022年問題によって、市場にたくさんの生産緑地が供給されれば、必然的に土地値が安くなる、つまり、土地を安く仕入れられるチャンスが到来します。
だからといって闇雲に仕入れると、賃貸物件が供給過多になる可能性がありますので、すでに生産緑地の多い練馬区や世田谷区などの物件を購入する際には、長期的な目線で考えて、近隣の賃貸需要について慎重に判断しましょう。
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