熱海市大規模土石流…宅建業者に求められる意識
7月3日有名温泉地の熱海市で大規模な土石流が発生しました。
まだ安否確認が取れていない方もいるそうなので、どうか早期に確認できることを心からお祈り申し上げます。
今回は大規模土石流の原因ではないかと噂されている盛土について、現在わかっている情報をお伝えするとともに、宅建業者としてこういった災害にどう向き合いどう対応していくべきか解説したいと思います。
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盛土とは何なのか
今回の土石流の起点には、開発行為による「盛土」がされていて、その大部分が崩れていたことがわかりました。これについて、静岡県は土石流との関連を調べるとのことです。
盛土はおよそ5.4万立方メートルあって、このうち少なくとも5万立方メートルが崩壊したということです。
本来、宅地開発などで盛土をする場合、盛土の高さが1mを超える場合など一定の場合に許可が必要です。
現状の静岡県知事の見解としては、盛土部分が全部もっていかれたことを重要視しているようで、大変危険をもたらす手の加え方で、どういう工法や目的で盛土をしたのか検証するそうです。
県によれば、盛土は東西約60メートル、南北約200メートルで、最大15メートルほどの高さで盛られていて、伊豆山地区の急斜面約1ヘクタールに、10年間で約5.4万立方メートルの土が盛られたことになります。
盛り土は一部を残してほとんどが崩落し、土砂が下るにつれて勢いを増し、被害を甚大化したようです。
盛土がされていた理由がポイント
熱海市によると2006年に開発業者から宅地造成の相談があったが、その後業者は勝手に樹木を伐採して、土砂や産業廃棄物を搬入していたことがわかり指導を受けていたそうです。
その後、その土地は別の業者が買い取って植林等したそうですが、樹木が育たず今回の崩落に至ったようです。
土砂災害から人々を守るために宅建業者ができること
土砂災害を完全に防ぐことは難しいですが、宅建業者としてできることもあります。
それは重要事項説明の徹底です。
静岡県熱海市に発生した土石流の現場周辺は、斜面の開発が進み、土砂災害警戒区域に指定されていました。
土石流の恐れがある場所は地形や地質によって把握することは可能ですが、市街が形成された後、すでに立っている住宅などの被害を防ぐことは簡単ではありません。
ですから、宅建業者は宅建士をして重要事項説明の際に土砂災害警戒区域か否かについて説明することが義務付けられています。
ところが、この部分が不動産取引でトラブルになることが多いのです。
例えば、よくあるのが重説したタイミングでは土砂災害警戒区域に指定されていなかったが、引き渡し後すぐに指定がされたような場合です。
こうなると買主としては、「そんなこと重説作成するときに県の土木事務所とかに確認すれば指定される事実はわかったはずだ」と訴えてきます。
ちなみに、土砂災害警戒区域に指定するためには、事前に基礎調査が行われます。
基礎調査が行われている都道府県では、区域指定以前に『危険箇所』等に指定されていることもあるのです。
この場合、基礎調査の結果について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為は、業法47条1号に違反するとされていますので、単に区域に指定されているかどうかだけ調べればいいというわけではありません。
まとめ
記録的な集中豪雨により、全国で水害の発生が多発しています。
宅建業者には、これまで以上に取引相手に対して、土砂災害や水害等のリスクについて重要事項説明の際により具体的かつ明確に説明することが求められるでしょう。
画像提供:ピクスタ
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