不動産投資コラム

騒音・振動・空気汚染…入居者が嫌がる周辺施設とは

2019/06/25
行政書士棚田 健大郎
騒音・振動・空気汚染…入居者が嫌がる周辺施設とは

墓地建設や保育園などの計画が新たに持ち上がると、近隣住民から反対運動がおこることがありますが、賃貸経営においても他人事ではありません。

投資する物件の近隣の住環境については、家賃額、空室率さらには投資利回りにまで直接影響してくるため、事前にどのような施設が入居者に嫌がられるのかについて知っておくことが重要です。

そこで今回は、不動産投資にも影響を与える注意すべき嫌悪施設について2回に分けて詳しく解説します。

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入居者が嫌がる施設…「嫌悪施設」とは?

居住者が近隣にあると嫌がる施設のことを、「嫌悪施設」「忌避施設」「迷惑施設」「NIMBY」などといいますが、どれも法的に明確な定義はありません。

ただ、不動産売買契約や賃貸借契約の締結に先立って行う「重要事項説明」の際には、住環境に影響を与える嫌悪施設について説明する必要があります。

次のような施設が投資しようと考えている物件の近隣に存在する、もしくはその計画がある場合については、投資利回りに悪影響が出る可能性があるため注意が必要です。

騒音、振動、空気汚染の恐れがある施設

住環境そのものに悪影響があると、入居者が決まりにくくなったり、決まってもすぐに退去してしまう恐れがあります。

幹線道路、高速道路

幅員の広い道路沿いに建っている物件については、車の通行に伴う音や振動などが想定されます。排気ガスが問題となることもあり、洗濯物を干すと排気ガスで黒くなってしまうほど酷いこともあるため注意が必要です。

都内であれば山手通り(環六)、環七、環八、明治通りなどの環状道路沿いに投資用マンションが多く建っているため、住環境にどの程度の影響があるのかについて、事前に現地を視察して確認することをおすすめします。

また、高速道路についても音や振動がひどく、都内であれば首都高が高い位置を走っているため、首都高沿いのマンションで、路面と同じ高さくらいにある階層の部屋については、ベランダを開けると目の前が高速道路というケースもあるので、区分マンションを購入する際には、購入する部屋との位置関係の確認が必要です。

鉄道(踏切、線路)

踏切沿いや線路沿いは、音と振動が激しく、特に都内については電車の本数が地方と違って多く、夜中まで走っているため、家賃については近隣相場よりも1~2割程度低く設定しないと入居者が決まらない可能性があります。

特に踏切については、遮断機の降りている間の「カンカン」という音が非常にうるさいので、窓については防音施工が求められることもあります。

また、目に見える場所に線路がなくても、建物の真下に地下鉄が通っている場合は、通過する際に一定の振動を感じる可能性があるので、事前に不動産会社に聞いて確認しておく必要があります。

都内の場合、武蔵野線など一部区間だけ地下を走行している路線がありわかりにくいので、見落とさないよう注意しましょう。

飛行場

飛行場

飛行場近くについては、離着陸の音などが深刻な問題となります。

都内近郊の場合、羽田空港は住居密集地から離れているため、あまり影響はありませんが、厚木基地など自衛隊や米軍の基地がある周辺については、軍用機が頻繁に訓練をしていてうるさいケースがあるため注意が必要です。

また、空港の近くのエリアについては、通常の都市計画による建築制限以外に、航空法により滑走路との位置関係に応じて、一定以上の高さの建物は建てられません

心理的な嫌悪感を感じる施設

日常生活に大きな支障はないものの、気持ちの面で近隣にあることを嫌がられる傾向にある施設もあります。

下水処理場、工場

近年は科学技術の発達などにより、下水処理場が近くにあっても、そこまで気にするほどの臭気の問題は発生しませんが、部屋を借りる側の心理としてはどうしても敬遠したくなってしまうため、不動産投資においてもあまりプラスとは言えません。

また、工場についてもさほど音や振動の影響がない場合でも、近隣にあると入居者から敬遠される要因となってしまいます。

葬儀場、火葬場、墓地

これらの施設については、近くに住むことを敬遠する人が多いので、家賃についても相場より値下がりしてしまう傾向にあります。

例えば区分マンションの場合、同じマンション内でも、ベランダから墓地が見える部屋と見えない部屋で、とれる家賃額が変わってくるほど、如実に影響があるのです。

ワンルーム物件であれば、影響が多少抑えられますが、ファミリー層からは強く敬遠される傾向があるため、広めの物件への投資を検討している場合は、これらの施設に注意しましょう。

金融機関の評価にも影響がある施設

次のような施設が近くにあると、入居者から敬遠されるだけでなく、ローンを組む際の金融機関の担保評価にも悪影響がでる可能性があります。

ラブホテル

駅前の好立地の物件でも、近隣にラブホテルが多い場合については、入居者が決まりにくくなる可能性があります。また、担保評価も同等の物件に比べると下がってしまうため、フルローンなどが難しい可能性もあります。

暴力団事務所

近隣に暴力団事務所がある場合については、入居者が決まりにくくなるのはもちろんの事、担保評価が非常に低くなってしまいます。中にはローン自体が通らないという物件もありますので、事前に不動産会社に確認しましょう。

その他の施設

以下のような施設についても、投資利回りに悪影響が出る可能性があります。

ゴミ屋敷

ゴミ屋敷

ニュースで報道されるレベルのひどいゴミ屋敷でなくても、管理の行き届いていない建物がすぐ隣だったりすると、お客さんが現地に内見に来た時に、どうしてもイメージが悪くなってしまいます

すぐ隣の建物の外壁がボロボロだったり、朽ち果てて空き家になっているような場合は要注意です。

ガソリンスタンド

車の出入りに伴う排気ガスの影響が懸念されます。また、ガソリンスタンドのスタッフによる「オーライ、オーライ」という掛け声がうるさいとのことで、入居者からクレームが来ることもあるようです。

ラーメン屋、カレー屋など飲食店

近隣に臭いの強い料理を出す飲食店があると、風向きによっては臭いの問題が発生することもあります。飲食店の換気扇の設置位置などを確認しておくとよいでしょう。

ここまでは、ほとんどの人が嫌悪感を感じる代表的な施設についてご紹介してきました。
後半は、人によって人気、不人気が分かれる施設や、これらの施設が資産価値や賃貸経営に与える影響について解説したいと思います。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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