不動産投資コラム

柱1本残せば再建築不可でも建て替えできる?

2019/02/12
一級建築士市村 崇
柱1本残せば再建築不可でも建て替えできる?

リノベーションで「柱を1本でも残せば再建築不可でも建築工事は出来ますよ」とか、「ほぼ、建て替えも出来ます(柱を残した建て替えの意味もよくわかりませんが‥笑)」という売り文句で中古住宅を売りつけようとする業者がいるようです。

実際の答えは、「出来ない」ということになりますから注意が必要です。

【1分で分かる!新築一棟投資の魅力とは?】東京圏・駅徒歩10分圏内の物件紹介はこちら

建築・リフォーム・修繕 言葉のイメージが違う

なぜ、「柱を1本でも残せば…」の売り文句が、実際は「出来ない」のか。

これには言葉の説明が必要で、一般の方がお持ちの「建築」とか「リフォーム」、「修繕」などのイメージと、建築の専門用語ではちょっと意味が違うケースがあります

建築基準法では、建築物を建築する際には、確認申請が必要になります(第6条)。
「こんな家を建てようと思っていますが、いいですか?」と行政にお伺いをし、「いいよ」という許可がなければ建築行為をしてはいけないということです。

勝手に違法な建築行為を実施し、有害な建築物(危険な建物)を建ててはいけないようにしているということですね。

建築基準法で確認申請が必要な建築行為とは

建築物とは、第2条1項で「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(以下、省略)」となっていて、家はまさに建築物です。
建築行為とは、家を建てることを指しますが、新築だけではありません。

主な建築行為としては、「大規模の修繕」と「大規模の模様替」も、建築行為にあたります(第2条14項、15項)。
これらは、先ほど説明をした「確認申請」が必要となり、許可がなければ勝手に行ってはいけないことになっています。

大規模な修繕とは、「主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」をいい、
大規模な模様替とは、「同、過半の模様替」をいいます。

どういうことかというと、わかりやすく言えば、「主要構造部を半分以上やりかえる場合には許可がいるよ。」ということです。
主要構造部とは、第2条5項に「壁、柱、床、はり、屋根、または階段をいい(以下、省略)」と定められていますから、柱を1本残して工事をするのは「違法行為」となってしまいます。

売りたいが故のウソですから、業者のいうことを鵜呑みにして購入しないようにしてください。

もし、確認申請を行わずに大掛かりな改修工事をしたら?

実際に、違法行為を実施したらどうなるか?ですが、近隣からみて「柱1本残すような大掛かりな改修工事」を実施していたら、行政に通報されるケースが大半です。
行政は住民からの通報を受ければ確認しなくてはいけませんので、現地に直接いって確認をします。

そこで違法行為が判明してしまえば、工事ストップの紙を貼られてしまいます(通称:赤紙)
こうなってはどうすることもできませんから、購入者がなくしかありません。

こういった物件の購入を検討する場合には、そもそも「なぜ、再建築不可なのか?」ということを行政にきちんと確認をとることが必要です。

例えば道路幅が足りない為に再建築不可なのであれば(敷地は4m幅以上の道路に2m以上接している必要があります)、セットバックなどで対応できないか?など事前協議の上、確認をすることをお薦めします。

合法か、非合法かは一般の方には判断がつきづらい為、本来は専門家(業者)が助言するのですが「性悪説」の業界ですから、自身で確認をするか公平な第三者に問い合わせをしましょう。

関連記事

柱1本残せば再建築不可でも建て替えできる?
希望通りのリフォームができるか?を見極めるコツ

東京圏人口一極集中さらに加速…不動産投資は、立地で決まる。解説本無料プレゼント

市村 崇

一級建築士

市村 崇

一級建築士

10年間で500棟以上の施工管理を行う。現在は(社)住まいと土地の総合相談センター代表理事として、多数のクライアントの相談に乗り厳しい目で現場を検査・インスペクションしている。

記事一覧