建ぺい率がアップする「角地緩和」に必要な条件とは
今回は、建物に関する法律の話をしてみたいと思います。
皆さんは、建築基準法上の制限として、建ぺい率という言葉を聞いたことがあると思います。不動産を売買するときの「物件概要」には必ず記載してあるほどの重要なものです。
この建ぺい率という制限を緩和するものとして、「角地緩和」というものがあります。ここでは、建ぺい率がアップするこの条件について2回にわけて解説していきたいと思います。
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建ぺい率とは…
それでは、確認のために、建ぺい率とは何なのかを触れてみたいと思います。
建ぺい率は、建築基準法第53条で定められている規制で、敷地の大きさに対して、どのくらいまでの建築面積の建物を建ててよいのかというものです。
たとえば、建ぺい率が60%の地域で、敷地面積が200㎡であれば、120㎡までの建築面積の建物を建ててよいということになります。
建築面積
ここで、建築面積というものを、もう少し見ていきましょう。建築面積は、「建坪(たてつぼ)」と言われたりもしますが、建物を真上から見たときの水平投影面積のことを指します。
すべての階が同じ面積であれば、迷うことはないのですが、階によって面積がちがう場合には、建物を真上から見て、見える範囲が建築面積になります。したがって、1階より2階の面積が大きい場合には、2階の面積が建築面積となります。
建築面積に含まなくてもよいもの
基本的には建築面積は上記の通りですが、建築面積に含めなくてよい場合があります。たとえば、軒、庇(ひさし)、バルコニーなど、外壁から横に突き出した部分がある場合でも、それが1m以内であれば建築面積には算入されないことになっています。また、地下室など、地盤面下にある部分は算入されません。
建ぺい率一覧表
建ぺい率は、都市計画法の用途地域によって、以下のように定められています。
住居系の地域では低く、商業系の地域では高くなっていることが分かります。商業系の地域では、建物が敷地いっぱいに建てられているのは、この建ぺい率の制限が緩いためです。
用途地域・区域 | 建ぺい率 |
---|---|
第1種低層住居専用地域 第2種低層住居専用地域 田園住居地域 第1種中高層住居専用地域 第2種中高層住居専用地域 工業専用地域 |
30%、40%、50%、60% のうち都市計画で定める数値 |
第1種住居地域 第2種住居地域 準住居地域 準工業地域 |
50%、60%、80% のうち都市計画で定める数値 |
近隣商業地域 | 60%、80% のうち都市計画で定める数値 |
商業地域 | 80% |
工業地域 | 50%、60% のうち都市計画で定める数値 |
用途地域の指定のない区域 | 30%、40%、50%、60%、70% のうち特定行政庁が 都道府県都市計画審議会を経て 決定する数値 |
角地緩和とは…
建ぺい率の限度は、用途地域によって決められており、商業地域を除いては、都市計画(用途地域の指定のない区域では都道府県都市計画審議会の議)で定められる上記の数値が上限となります。
しかし、特定の条件を満たせば、建ぺい率の緩和を受けることができるのです。
たとえば、一定の角地に該当する場合には、緩和を受けることができ、建ぺい率がアップします。ここでは、建ぺい率がアップする条件について、見ていくことにしましょう。
角地緩和(第53条第3項第2号)のポイントは、街区の角にある敷地、またはこれに準ずる敷地で、特定行政庁が指定するものということになっています。
この条件を満たした場合には、建ぺい率が10%加算されます。たとえば、建ぺい率が60%と定められている地域では、その上限が70%となります。
一 第一項第二号から第四号までの規定により建ぺい率の限度が十分の八とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物
二 街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物
建築基準法第53条(建ぺい率)
では、ここでいう、特定行政庁とはどういうものなのでしょうか。
特定行政庁とは、建築主事*を置く地方公共団体、およびその長となっています。これは、行政機関で建築の確認申請、違反建築物に対する是正命令などの建築行政全般を行っているところを指します。
※建築主事:建築基準法上の建築確認、完了検査などの建築に関する事務を司る人で、都道府県または市町村の職員。
調査しようとしている物件の所在地の特定行政庁はどこになるかは下記で調べることができます。
特定行政庁ごとにどのような場合に角地と認められるかが異なってきます。
次回は、角地の緩和について具体的な例 をもとに解説いたします。
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