不動産投資や税金計算で耳にする…路線価とは?
前回 、不動産には、地価公示、地価調査、相続税路線価、固定資産税路線価、実勢価格など、さまざまな価格がある(一物五価)というお話をしました。
中でも、不動産投資の現場で耳にする2つの路線価(相続税路線価と固定資産税路線価)について、もう少し細かく見ていくことにしましょう。
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路線価は何のために決められる?
そもそも路線価というのは、何のために決められるのでしょうか。
ひと言でいってしまうと、税金を課すときの課税価格を算定する基礎とするためです。
特に土地については、所在地や形、大きさなどによってその価値は変わってきます。
課税は公平であるということがとても大事ですので、その課税の基準をしっかり決めておかなければなりません。そのために路線価というものがあります。
路線価とは、道路(路線)に面する宅地 1㎡あたりの評価額をいいます。土地の価格は面する道路によって、その価値が決まってくるという考えです。
すべての土地について個別に評価するのが一番望ましいのですが、実務的には時間や費用、手間などの点から現実的ではないので、同じ路線に面する土地はひとまず同じ価格であると考えます。それを基礎として、個別の条件、たとえば、角地であるとか、間口が広いとか、形状が良くないとかによって価格に差をつけていくのです。
相続税路線価
単に路線価というときは、相続税路線価を指すことが多いのですが、この相続税路線価はどのようなものなのでしょうか。
相続税路線価は、相続税や贈与税を計算するために時価を求めるときに使われます。相続税法22条では、相続財産の評価は時価で行うことが定められています。
相続税法 第二二条
なお、国税庁が公開する「財産評価基本通達」では、各財産の評価方法を定めているのですが、基本的にこの通達の定めによって評価した価額を時価とするとなっています。
財産評価基本通達における時価
この時価を求めるときに用いられるのが路線価です。
財産評価基本通達による宅地の評価は、「路線価方式」と「倍率方式」の2つの評価方式があります。
少しややこしいですが、相続税路線価とは、評価方法の中でも「路線価方式」を採用する場合に利用されるものと覚えておいていただければと思います。
このように、相続税路線価は、課税のために定められたものですが、実際にはさまざまな場面で、土地の価格の目安を知るために利用されています。
たとえば、銀行など金融機関が融資をする場合には、土地の担保を取ることが多いですが、その担保価値を算定する場合に利用されたりします。
前面道路ごとに価格が付されている路線価
また、売買の際に取引の対象となっている土地がいくら位であるかを把握する指標になったりもします。
連載1回目のコラムで紹介した地価公示や地価調査による価格は、標準となる地点の数が限られており、評価しようとしている土地との価格の関連が分かりづらいということがありました。
この点、前面道路ごとに価格が付されている路線価のほうが、その土地の価格がより分かりやすく、使い勝手が良いため、相続税路線価はよく利用されています。
この路線価は、地価公示や地価調査による価格の8割程度を目処に定められているので、この前面路線価を0.8で割って、公示価格ベースの水準を把握することができます。
次回は、実際にどのような計算式で路線価をもとめるか、土地の形状別にご紹介いたします。
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- 第1回:土地の値段は「一物五価」!? 目的と価格の違い
第2回:不動産投資や税金計算で耳にする…路線価とは?
- 第3回:相続税・贈与税の計算に使う土地価格の計算方法