決まらない物件の特徴と、立地が悪い物件の空室対策
いざ、アパートを購入して、アパート経営を行うときに悩まされがちなのが空室。
物件によっては3月の繁忙期を逃すと、翌年までなかなか入居者がつかないことも少なくありません。
賃貸経営において空室期間の長期化は、収支を極端に悪化させるため、早くから対策を講じていくことがとても重要です。
そこで今回は、空室を埋めるための具体的な対策について、全3回にわたって解説していきます。
第1回目の今回は、空室が埋まらない物件の特徴と、立地条件が悪い物件の空室対策について解説します。
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長期空室物件の特徴とは?
賃貸経営の理想は、現入居者が退去して家賃が切れる前に、次の入居者が決まることです。反対に、退去から1ヶ月以上経過しても次の入居者が決まらないような状況を、一般的に「長期空室」といいます。
では、具体的にどのような物件が長期空室になりやすいのでしょうか。
立地条件の悪い物件
次のような物件は、立地条件が類似物件よりも悪いため、長期空室になりやすい傾向があります。
- 駅から徒歩10分以上かかる
- 駅から坂道など高低差が激しい
- 幹線道路沿いで排気ガスの影響がある
- 北向きなどで日当たりが悪い
- 近所にコンビニやスーパーがない
これらの特徴にあてはまる物件については、賃貸募集において他の物件に比べて不利になるため、特段の対策を講じていないと長期空室になる可能性が高いでしょう。
管理状態が悪い
物件自体の管理状態が悪いと、お客さんが内見しても印象があまりよくないため、決まりにくくなり長期空室となってしまいます。管理状態でとくに注意しなければならないのは、原状回復工事の甘さです。
入居者が退去するとルームクリーニングや壁紙の張替えなどの原状回復工事をしますが、経費をおさえるために、次のようにケチっていると空室が決まりにくくなります。
- 古くなっている壁紙を張り替えず、クロスクリーニングだけで済ませている
- エアコンなどの設備が10年以上前のものであるにも関わらず、まだ動くからという理由で交換を先送りしている
退去するたびにすべてを新しくする必要はありませんが、最低でも壁紙についてはできる限り張り替えてイメージをよくすることが重要です。
家賃や礼金などの設定額が高い
立地条件もよく、原状回復工事も惜しみ無くやっているのに長期空室になっている場合は、家賃や礼金などの設定額が相場よりも高い可能性があります。
いくら条件が良い物件でも、相場よりも割高な家賃で募集を続けていては、そう簡単には空室が埋まりません。
これらをまとめると、長期空室となる原因は次の3点に絞られます。
- 立地条件
- 管理状態
- 募集条件
長期空室になる原因は、元をたどっていくと上記3つのいずれかに行き着くことがほとんどです。よって、これら3つの原因に対する適切な対策さえ講じれば、長期空室のリスクはそんなに怖くありません。
空室を埋める方法その1:立地条件対策
立地条件というと、すでに物件がその場所に建っているわけであり、動かすことはできないから、購入後に立地条件について対策をとることは難しい、と考える大家さんが大勢います。
確かに、立地条件が悪いからといって、物件を駅の近くまでもってくることはできません。ですが、次のような工夫をすることで、立地条件の悪さについては、ある程度カバーすることが可能です。
電車以外の交通網のアピール
立地条件が悪いと思われている物件でも、実はいろいろ調べてみるとそこまで不便ではないというケースが多々あります。とくに都内の場合は、公共交通機関は電車だけではありません。
都内には多くの「路線バス」が運行しているため、バス停を探したら意外と近くにあるケースもあったりします。駅から10分以上離れる物件については、バス路線でどのような場所に出ることができるのかを調べることがとても重要です。
例えば、最寄駅が田園都市線の三軒茶屋駅で、駅まで徒歩10分以上かかることがネックだった場合でも、近くのバス停から渋谷駅行までの東急バスが運行していれば、駅から徒歩10分という立地条件は、人によってはネックではなくなります。
このような情報は本来不動産会社の営業マンが知識として持っておくべきところですが、残念なことに1つ1つの物件のバス路線まで把握している営業マンはほとんどいません。
そのため、まずは自分自身で利用可能なバス路線がないかを調べて、それを募集図面やインターネット広告などにも記載してもらうことで、駅から遠いという立地条件のリスクはある程度解消することができるでしょう。
生活上の利便性をアピールする
賃貸併用住宅や賃貸物件の近くに大家さんも住んでいる場合については、生活上の利便性を具体的にアピールすることで、駅から遠いという悪い印象を払拭することができます。
例えば、以下の2つの物件が候補として上がっているとします。
マンションB:駅から徒歩12分 家賃7.5万円
駅からの近さを優先する人であれば、多少家賃が高くてもマンションAを選ぶ可能性が高いでしょう。ただし、駅の出口によっては駅前にスーパーがないことも珍しくありません。
マンションAは駅から徒歩2分ですが、実際は開発されていない北口を出て徒歩2分のため、スーパーで晩ご飯の買い物をして帰ろうとすると、一度南口のスーパーを経由しなければならないため、そうなると徒歩10分以上かかります。
一方でマンションBは駅から徒歩12分かかりますが、開発されている南口を利用することができ、また帰り道の経路沿いにスーパーがあるため、買い物をするために迂回して距離ロスをする必要がありません。
単純に駅から徒歩○分という数字だけで判断すると、近ければ近いほど有利になります。ですが、実際に生活すると駅からまっすぐ帰ることはむしろ少なく、買い物をしながら帰るほうが自然でしょう。
要するに、駅から遠い物件の場合は、駅からのルート上にどのようなお店があり、実際に生活すると便利であるということをお客さんに伝えることがとても重要になるのです。
具体的には、Yahoo!地図やGoogleマップを拡大コピーして、駅からのルートをマーカーなどで印を付け、その周辺にどんなお店があるのかをわかりやすく書き込みます。
パソコンが得意な大家さんであれば、Excelやイラストレーターなどで編集するとよりわかりやすいでしょう。
そうやって作成したお手製のマップを、物件現地の部屋の中の見えるところに貼っておくことで、内見に来たお客さんに「駅から遠かった」という印象だけでなく「意外と便利なんだ」という印象を植え付けることができるのです。
駐輪場の設置 バイク置き場
駅からの立地が悪い物件については、敷地内に駐輪場などの自転車を置けるスペースを確保することで、デメリットをある程度打ち消すことができます。
敷地が狭くて、立派な駐輪場を設置できないという場合でも、自転車をとめられるスペースを作ってあげるだけでもだいぶ違います。
また、最も効果的なのが「バイク置き場」です。
実は都内など都心部の物件については、バイク置き場がない物件が多く、ライダーは常にバイク置き場がある物件という縛りのもとで部屋探しをしています。
雨が当たらない場所にバイクを置けるスペースがある場合は、募集図面に「バイク置き場あり」と記載するだけで、それなりの効果が期待できるでしょう。
立地条件が悪くても、このような工夫をすることで、単に駅から遠い物件ではなく、遠いからこその付加価値をお客さんに感じてもらえるでしょう。
「大家がそこまでしなければならないの?」
と思った人もいるかと思いますが、立地条件の悪い物件でそれなりの利益を維持したいのであれば、間違いなく、そこまでするべきでしょう。
そこまでしない大家が多いからこそ、そこまでする大家の部屋から空室が埋まる可能性が出てくるのです。
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第1回:決まらない物件の特徴と、立地が悪い物件の空室対策
- 第2回:空室の原因に?管理状態のチェックポイントと改善策
- 第3回:空室対策のため募集条件を見直せ!その流れと効果は