不動産投資コラム

その土地は大丈夫?投資における土壌汚染の基礎知識

不動産鑑定士堀田 直紀
その土地は大丈夫?投資における土壌汚染の基礎知識

投資物件を検討するにあたって知っておきたいこととして、前回は「アスベスト」についてお話ししました。
今回は土地における重要なリスク、「土壌汚染」についてご説明いたします。

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土壌汚染の可能性がある土地とは

土地を購入する前に、その土地がどのような用途で使われていたかを調査する必要があります。工場跡地やガソリンスタンド跡地などは分かりやすいですが、建物の一部に写真現像所が店舗として入居していたなどの場合がありますので、注意が必要です。

【例】

  • 金属加工、メッキ工場があった土地(カドミウム、六価クロムなど)
  • ガソリンスタンドがあった土地(鉛、油類、ベンゼンなど)
  • クリーニング工場があった土地(テトラクロロエチレンなど)
  • 写真現像所、印刷所があった土地(カドミウム、鉛、トリクロロエチレンなど)

ただし、これらの用途として使われていたからといって、必ず汚染されているわけではなく、有害物質が適切に管理されていた場合には、問題がないこともあります。また逆に、土地の利用履歴からは懸念がなくても、自然由来により有害物質が存在しており、基準を超過している場合もあります。

MEMO
人の健康被害が生じる恐れがある特定有害物質の濃度基準

土壌汚染に関する法律として、「土壌汚染対策法」というものがあります。この法律は、特定有害物質による土壌汚染の状況の把握と人の健康被害の防止を目的として、平成15年に制定されました。特定有害物質について、人の健康被害が生じるおそれがある濃度基準を定めています。

第1種特定有害物質(揮発性有機化合物) 第2種特定有害物質(重金属等) 第3種特定有害物質(農薬等)

参考:京都市:土壌汚染対策法に基づく特定有害物質

土壌汚染の調べ方と対処法

土壌汚染については、専門機関に調査してもらう方法があります。

フェーズⅠ:
資料(地形図や過去の住宅地図、閉鎖登記簿謄本など)により汚染の恐れを推定します。
疑わしい土地については…

フェーズⅡ:
土壌汚染の有無や程度について、実際に試料を採取して分析します。まずは、表層を調査し、次に、表層調査で汚染が確認された地点の詳細調査(深度調査)を行います。
汚染が判明したら…

フェーズⅢ:
汚染が判明した土地について、必要な措置を施します。汚染土壌を運び出して処理(掘削除去)、そのままの位置で浄化(原位置浄化)、汚染の摂取や拡散を防止する(原位置封じ込めなど)があります。

費用の参考

実際の対策費用は、汚染状況や施工条件、施工業者によってさまざまです。東京都環境局が公表している「中小事業者のための土壌汚染対策ガイドライン」によると、以下のとおりとなっていますので参考にしてみてください。

方法 処理費用の目安
掘削除去 10万円/㎥以上
原位置浄化(生物的分解)  3万円/㎥以上
原位置封じ込め 5万円/㎥以上

まとめ

今回は環境に関するリスクについて、アスベストや土壌汚染についてお話してきました。物件を購入する買主の立場では、具体的にどこまで調査できるかは、ケースバイケースだと思います。
しかし、このようなリスクのある物件を購入した場合、将来的に思わぬ費用が発生したり、対応をしないままでいると売却する際に不利になったりする場合があります。できる範囲内で調査をし、このようなリスクがあるということを頭の片隅にいれておいたほうがよいでしょう。

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堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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