民泊サイト運営者への通知の詳細と今後の戦略
2回目の今回は、観光庁から民泊サイトの運営事業者へ送る通知の詳細と「住宅宿泊事業法」施行をうけて考える今後の民泊戦略について説明いたします。
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観光庁から民泊サイト運営事業者への通知
観光庁は健全な民泊サービス提供のため、民泊仲介サイトで違法な民泊物件を掲載している場合、民泊サイト運営事業者へ以下のように通知すると発表しました。
- 違法民泊物件の宿泊予約取り消し
- 適法民泊への予約変更を求める
住宅宿泊事業法の施行後に民泊仲介サイトが講ずべき措置は下記の5点です。
住宅宿泊事業法の届出物件を民泊仲介サイトに掲載するにあたっては、住宅宿泊事業者から通知される届出番号を確認すること。当該確認ができない物件については、民泊仲介サイトに掲載しないこと。
サイト利用者へ適法な物件であることを周知する等のため、民泊仲介サイトにおいて、届出番号等物件の適法性に関する情報を表示すること。
住宅宿泊契約を締結する前の書面の交付において、サイト上で必要事項の確認画面を設けた上で、契約締結後速やかに電子メールを送付する方法も認めること。
宿泊日数が180日を超えていないか等を補完的に確認するため、民泊仲介サイトに掲載の届出物件に係る宿泊実績等の情報について6ヶ月毎に観光庁へ報告すること。
上記の報告等により、違法な物件が掲載されていることが確認された場合には、観光庁からの求めに応じ、速やかに当該物件を削除等すること。
また、観光庁は違法民泊の予約客が適法な民泊やその他の宿泊施設への斡旋が必要となった場合に必要な協力を行うため、住宅宿泊仲介業者宛ての通知に合わせ、日本旅行業協会と全国旅行業協会に対しても協力要請を行っています。
これを受けて、大手民泊仲介サイトでは、無届出や無許可の民泊物件を検索結果から全て削除するという対策を取りました。
今後、適法な民泊を運営していくためには、民泊新法の届出番号や旅館業法の許可番号などの通知が必要になりますので、違法な民泊は淘汰されていくものと考えられています。
民泊新法の施行を受けて- 今後の民泊戦略
民泊新法の施行を受けて、これから民泊を行う場合は検討が必要です。
それは、民泊新法の最大のポイント年間営業日数が180日に限られている点にあります。
旅館業法 | 特区民泊 | 住宅宿泊事業法 | |
---|---|---|---|
エリア | 全国 | 指定特区のみ | 全国 |
営業上限日数 | なし | なし | 180日 |
宿泊日数制限 | なし | 2泊以上 | なし |
旅館業法や特区民泊であれば年間を通じての民泊営業ができますが、住宅宿泊事業法にのっとった民泊だと180日しか営業ができないため、民泊として使用していない日を有効活用する必要性があります。
そのため、大手企業などでは、旅館業の中の簡易宿泊所の形態で民泊の営業を行う動きがあります。
今後も大手企業が民泊産業に参入してきて、旅行会社と提携し、新しい民泊スタイルもどんどん生まれてくることが予想されます。
全国的にも民泊が広まっていくことから、ただ所有している不動産を民泊施設として貸し出せば宿泊客が集まるわけではなく、単純な宿泊施設よりプラスアルファしたサービスが必要になってきます。
また、民泊新法の施行に合わせ、マンション標準管理規約も改正され、管理規約上で民泊営業の実施の可否を明示することとされました。
いくら法律に則って届出をしたとしても、マンションの管理規約で民泊営業を禁止されてしまえば民泊を行うことができません。
投資用不動産の購入時から、民泊としての使用の可否を検討するのも購入条件の一つになりそうです。
民泊のトラブルと対応策
これまで説明してきたように、民泊は個人の住宅や投資用物件を貸し出すことになりますので、まだまだ法整備が追いつかないためのトラブルや、各地域の習慣の違いや近隣の住民とのトラブルなど、さまざまな問題が起こる可能性があります。
今後どういったトラブルが起こる可能性があるか対策をとっておけば、トラブルを未然に防ぐこともできます。
次回は民泊でよくあるトラブルと、その対応策について解説いたします。
手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?
- 第1回:「民泊新法」の設立背景と違法民泊について
第2回:民泊サイト運営者への通知の詳細と今後の戦略
- 第3回:民泊によくあるトラブルと対応策