不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

すでにサブリースしている物件を、同族法人にサブリースしてもよい?

個人でアパートを所有しています。
新築当時からハウスメーカーにサブリースをしています。

税金が高いので法人を設立したいと思っています。
すでにサブリースをしている物件にさらに法人にサブリースをして家賃収入の一部を法人の収益とすることはできますか?

できる場合にどのくらいの割合であれば税務署から言われませんか?

二重契約のサブリースは否認される可能性あり

すでにサブリースをしている物件にさらに同族法人を介在させて家賃収入の一部を法人の収益とすることは、税務当局から「同族会社等の行為計算否認規定」を適用され、否認されるリスクが高いです。

2025年4月25日の大阪高裁の判断では、別の不動産管理会社と同族法人とサブリース契約を重複契約があったとして、経済的に不合理と認定しました。

「実質的には、本件不動産を同族法人ではなく、第三者(別の不動産管理会社)に賃貸した上、不動産管理会社又はエンド・ユーザーの賃貸料の支払先口座として、同族法人名義の口座を指定したものであり、同族法人は、エンド・ユーザーとサブリース契約を締結するのではなく、第三者から送金される賃貸料を所有者に代わって受領するなどの窓口業務をしていたにすぎないと評価するのが相当である」

このような実態は、一般的なサブリースとは大きく異なり、「実態とはかい離した形式を作り出したもの」であり、不自然というべきと言及しています。

したがって、すでにサブリース契約を締結されている不動産に、さらに同族会社とサブリースをするのは認められないと考えます。

同族法人が介入する実態が必要です。
ハウスメーカーが行う業務以外の業務があれば、その業務をやることで管理委託契約などを契約することであれば、認められる可能性はあります。

この場合でも、適正な料率であるか、その業務が本当に必要なのかを証明できるようにする必要があります。

2025/10/24

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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