不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

家族に低い家賃で賃貸。贈与税や相続税に影響ある?

私が所有しているマンションの1室に長男夫婦が住んでいます。
家賃はもらっていますが、他の部屋の賃料の半額にしています。

この場合、贈与になってしまうのでしょうか?
また、自分の相続があった場合に相続税の影響はあるのでしょうか?

まず、低い賃料で貸すことが贈与にあたるかについてですが、タダで貸す(使用貸借契約)ことは民法上認められた契約です。

個人間の使用貸借については贈与税が課されないことになっています。

したがって、部屋を低い賃料で貸すことについては、贈与には該当しません。

次に、相続税に影響するかについてですが、低い賃料が使用貸借になるかならないかで場合分けをして考えます。

というのも、低い賃料が経費をまかなうくらいの賃料であれば、タダで貸しているのと同じ扱いになってしまうためです。

例えば、土地の賃貸借契約で、土地の固定資産税相当分の地代しか取っていないと、使用貸借と認定されてしまうのです。

ですから、賃料をもらっていても、必要経費がまかなえないくらいの賃料なのかを検証する必要があるのです。
(相場家賃の半額を取っていれば、その部屋についての必要経費がまかなえないことはないかと思いますが)

使用貸借契約に該当する場合

賃貸していることの減額(家屋については貸家評価、土地については貸家建付地評価)が使えないことになります。

つまり、その部屋については、減額がない評価になってしまい、相続税が上がることになります。

賃貸借契約に該当する場合

適正賃料でなくても、経費がまかなえる以上の賃料であれば、賃貸していることの減額は可能です。

相続税評価については、影響がないことになります。

しかし、小規模宅地の減額に影響があります。

相続人に賃貸している場合には、相続によって、その相続人が取得すると、所有者と賃貸人が同一人物になります。

自分が自分に賃貸することはできないため、賃借権は、民法上の「混同」により消滅することになります。

賃貸用の小規模宅地の減額(200㎡まで、50%減額)の要件の一つに、「相続税申告期限まで賃貸を継続していること」があります。

相続とともに賃貸は消滅するため、要件を満たさず、その部屋についての小規模宅地の減額が適用できないことになります。

2025/06/06

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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