今さら聞けない民泊 不動産投資と民泊経営[前編]
最近、民泊という言葉をよく耳にする機会が増えましたが、不動産投資をしている投資家の間でも、実際に所有している不動産を利用して民泊経営を行う方が増えてきています。
また、日本人に限らず、海外の投資家も日本の民泊投資に注目をしており、既に東京・大阪・京都などの民泊人気エリアでは、民泊施設を建てるための土地や古民家の購入が行われています。
ここでは、民泊の意義や内容、注意事項などをお話していきます。
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1.なぜ民泊が注目を集めるのか?
1-1.外国人観光客の急増
2013年に日本を訪れる外国人旅行者が1000万人を超えてから、訪日外国人観光客は毎年急激な増加傾向にあります。それに伴い、外国人に人気の観光地や首都圏では、旅行者を受け入れる宿泊施設の不足が問題視されてきました。
そして、日本にあるホテルや旅館など既存の宿泊施設だけでは、訪日外国人観光客の受け入れに対応しきれなくなってきました。
1-2.東京オリンピックの開催
訪日外国人観光客の増加の大きな背景として、2020年の東京オリンピックの開催があります。
国家の成長戦略として、2020年の訪日外国人観光客数を現在の倍近くである4000万人に、さらに2030年には6000万人にするという目標が立てられ、今後も観光立国としてますます日本を訪れる観光客が増加することが予想されます。
しかし、今のままのホテル・旅館の部屋数では、増加する観光客をとても受け入れることは不可能です。
そのため、訪日外国人観光客の宿泊施設の確保は、国家の成長戦略の中でも優先順位が高い課題となっています。
そこで、このホテル・旅館などの宿泊施設不足を補うために生まれたので「民泊」です。
2.ホテル・旅館不足を補うため「民泊」の開始
このように外国人観光客のための宿泊不足である日本において、個人宅の空き部屋やマンションの空室を宿泊施設として提供する民泊が少しずつ開始されてきました。
そもそも日本では、反復継続的に宿泊施設を提供し、その対価として報酬を受け取るには「旅館業法」で定める許可を取得しなければなりませんでした。
しかしながら、この旅館業法の許可を取るにも、法律で定める要件が厳しく、一般の方がこの要件を満たすだけの施設を備えるには、資金的にもかなりハードルが高いものでした。
3.条例で制定された特区民泊とは?
特区民泊とは、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」の略称として「特区民泊」と呼ばれています。国から特区(特別区)として認められた都市において、さらに民泊事業の特定認定を受けた場合、旅館業法の適用除外となりますので、旅館業法に定める要件を満たしていなくても民泊を開始することができます。
特区民泊は、全ての都市においてできるわけではなく、国家戦略特別区の一部に限られますが、適法な民泊の運営方法の一つとして注目を集めています。東京都大田区や大阪市、北九州市などの都市が特区民泊を認められています。
4.民泊に関する新法の新設
特区民泊が認められたことにより、少しずつ民泊経営が開始されましたが、限られた都市の一部でしかできず、宿泊施設の不足を補うにはまだまだ不十分でした。
そこで、増加し続ける外国人観光客への対策として、空き家や投資用マンションを有効活用すべく、2018年6月に民泊に関する新しい法律である「住宅宿泊事業法」が施行される予定であり、この法律により、日本のさまざまな地域で要件を満たせば誰もが民泊を開始することができ、今後の外国人観光客の宿泊施設不足の解消に期待がされています。
5.不動産投資の新たな選択肢
民泊投資は、既に不動産を所有しているもしくはこれから不動産の購入を検討している投資家の間で、高い収益性が見込まれるとして、不動産投資の新たな選択肢として注目されています。
現在、日本では、毎年人口が減少傾向になっていますが、新築される住宅数は増え続けています。その結果として、賃貸物件や賃貸オフィスの空室率が高まっており、不動産投資においても、借り手が見つからない空室リスクが常につきまといます。
また、人気観光地にホテルや旅館を建てるため土地を購入したり、古いホテル旅館そのものを購入し、旅館業法の許可を得るとなると、一般の方にはハードルが高く、初期費用としてもかなりの費用を要することになります。
これに対し、所有している不動産や空き家をリノベーションして民泊投資を開始すれば、初期費用とそれにかかる時間も抑えられますし、高い稼働率で民泊の運用ができれば、通常の不動産経営よりも高い利回りを実現できる可能性があります。
そして、今後、個人の民泊投資に対する金融機関のローン商品も充実してくれば、不動産投資の新たな選択肢として、民泊市場が益々盛り上がっていくものと思われます。
後編は、実際に民泊経営をする際に役立つ、民泊投資の種類や民泊新法について解説いたします。
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