減価償却がなくなってしまう場合の対策は?
築古の木造アパートを個人で所有しています。
現状は、満室でキャッシュフローも問題なく出ています。
しかし、減価償却があと8年で切れてなくなってしまいます。
8年後が心配です。
どうすればよいでしょうか?
減価償却が切れるまでの間に対策しておきましょう。
検討する手順を紹介します。
減価償却が無い場合の所得シミュレーション
まず確認するべきことは、減価償却が切れる8年後にどのくらいの所得になるかを確認すべきです。
例えば、600万円の減価償却がなくなっても、現状がマイナスであれば単純に所得がプラス600万円ではないはずです。
そして、他の所得がいくらになるのかです。不動産所得のプラスは、給与所得などの他の所得と合算されます。
8年後の給与所得などが多いのであれば、合計所得金額が大きくなり、税金に大きく影響します。少なければ税金の影響も少なくなります。
さらに所得控除(扶養控除や配偶者控除など)も考慮して、現状と比較してどのくらい増税になるかを具体的に確認することです。
所得税と住民税を合わせて50万円以上がってしまうのであれば法人化によるメリットが出る可能性があります。
法人へ売却する法人化シミュレーション
法人へ物件を移転する場合、登記費用や不動産取得税などのコストがかかります。
法人化した場合のシミュレーションをして、移転コストが節税メリットによって早期に回収できるなどのメリットが出れば法人化をするタイミングを図りましょう。
というのも、減価償却が切れてから法人に物件を移転した場合、(法人への売却は時価で行わなければならないことから)建物の簿価(未償却残高)がないため、譲渡税がかかってくる可能性があります。
また、残債との関係もあります。
残債以上で法人へ売却しないと、借入金が残ってしまい法人に移転できないことになります。
簿価と残債とのバランスを取ることが、コストをかけずに法人へ移転(売却)するポイントです。
法人へサブリースや管理する法人化シミュレーション
移転コストや残債が多額にある等で法人へ物件を移転するメリットがない場合に、法人にサブリースや管理をさせる方式でメリットがでるかシミュレーションします。
法人に移転する場合と比べて、収入を法人に移転できる金額が少なくなってしまいます(収入の5%~20%程度が法人に移転できる上限)。
それでも節税メリットが出れば法人化をしましょう。
この場合、減価償却が切れるタイミングでも構いません。
売却も検討してみる
減価償却が切れるまでの間で売却してしまうことも視野に入れましょう。
法人化のメリットがないなど減価償却がなくなっても持ち続けるメリットが見いだせない場合には、高く売却できる時期を見計らって売却し築が浅い物件などに入れ替えることもよい選択と言えます。
2020/06/11
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士