民泊投資の失敗事例2つ/借りた場合と買った場合
2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、日本全国の届出住宅数は20,525件(2020年1月9日時点)となっています。全国的に民泊が解禁され、民泊は不動産活用のひとつとして身近な存在になりました。
今後、新たに民泊事業を始める方が失敗を未然に防げるよう、今回は民泊ビジネスの失敗例をご紹介します。
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民泊のビジネスに関する失敗例1.物件を「借りた」場合
民泊ビジネスがブームとなった2~3年前から、「民泊許可物件」を謳う民泊投資の勧誘が、インターネット上で盛んに広告されるようになりました。
投資勧誘が行われた「民泊許可物件」の多くは、単にオーナー(物件所有者)からの転貸承諾を得た賃借物件に過ぎず、旅館業法の許可を受けた物件ではありませんでした。
Aさんは、無許可で民泊を始めましたが、営業開始間もなく、保健所から営業を中止するよう指導されました。
急いで旅館業の許可を取ろうとしたものの、物件所在地の制約等から、旅館業の許可は取れないことが判明。
また、その物件では、前の賃借人も無許可で民泊を営み、保健所の指導で営業を中止していたことも分かりました。
結局、Aさんは民泊営業を断念し、開業に要した資金に加え、家具・家電の処分費用までをも失いました。
2018年6月の改正旅館業法施行後は、旅館業無許可営業に対する罰則が強化され、宿泊施設仲介サイト(民泊物件マッチングサイト)も施設の適法性の確認を厳格化したことにより、このような無許可営業はそもそもできなくなりました。
民泊投資に関する失敗例2.物件を「購入した」場合
賃借以上に慎重な判断が必要となるのが、物件を買う場合です。
不動産取引は金額が大きいので、旅館業営業を目的として購入した物件で許可が下りなければ、買主は大きな損失を被ります。
不許可リスク回避の手段の1つとして、既に旅館業の許可を受けた「旅館業許可物件」を購入することです。
しかし、現に許可を受けているからといって、その物件で新規に許可を取れることが保証されているわけではありません。
Bさんは、物件購入後、保健所に新たに旅館業の許可を申請しようとしたところ、その物件が建築基準法に適合していない違法建築物であることが判明。
従前では、建築確認申請と呼ばれる手続が不要な小規模物件では、建築基準法令の確認なしでも旅館業の許可を受けられることが一般的だったものの、近年になって審査が厳しくなり、小規模物件であっても、明らかに旅館・ホテルとして建築基準法令に違反している物件(例:接道義務を満たしていない物件など)では許可が出ないようになっていました。
Aさん、Bさんに共通する失敗原因は、旅館業の許可取得について十分なリサーチが足りなかったこと。
旅館業の許可取得を目的とする不動産取引には大きなリスクが伴いますので、物件購入の際には、必ず事前調査(デューデリジェンス)を専門家に依頼するようにしましょう。
今回は民泊ビジネスにおける物件選定に係る失敗例を紹介しました。次回は、民泊の運営管理に係る失敗例を見ていきます。
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