ますます東京圏一極集中へ/2019年の人口移動報告
総務省は自治体への転入・転出の届出状況を示す人口移動の実態がわかる「住民基本台帳人口移動報告 2019年(令和元年)結果」を公表しました。
東京都および東京圏(1都3県)の転入超過数は昨年よりさらに拡大し、人口一極集中が続いている状況です。
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全国の転入超過/東京都の転入超過
都道府県別転入超過数(2018年、2019年)
都道府県別では、転入超過となっているのは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・福岡県・滋賀県・沖縄県の8都府県でした。
転入超過数が多い都県は東京都(8万2982人)、神奈川県(2万9609人)、埼玉県(2万6654人)など。
最多は東京都ですが、転入超過数が最も拡大したのは神奈川県でした。
なお、沖縄県は前年の転出超過から転入超過へ転じています。
一方で、転出超過となっているのは広島・茨城県・長崎県・新潟県など39道府県。
転出超過数が最も拡大しているのは広島県(1961人)でした。
東京圏のみが転入超過/3大都市圏の転入および転出
3大都市圏の転入超過数の推移(1954年~2019年)
3大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)の転入超過数は、全体では12万9669人の転入超過でした。
前年と比べると6615人拡大となり、また女性の転入超過が男性より2万1381人多いという結果になっています。
- 東京圏…14万8783人の転入超過(24年連続・前年より8915人拡大)
- 名古屋圏…1万5017人の転出超過(7年連続・前年より7641人拡大)
- 大阪圏…4097人の転出超過(7年連続・前年より5341人縮小)
東京圏の15~29歳は13万2533人の転入超過
東京圏の年齢5歳階級別転入超過数(2018年、2019年))
東京圏で転入超過となっているのは5~54歳および75~90歳以上の14区分です。
転入超過数が多いのは20~24歳(7万9964人)、25~29歳(2万8084人)、15~19歳(2万4485人)などとなっており、15~29歳の3区分で13万2533人の転入超過となっています。
前年と比べ転入超過数が拡大しているのは20~24歳(4861人)など10区分で、縮小しているのは15~19歳(2180人)など4区分です。
また、東京圏で転出超過となっているのは0~4歳および55~74歳の5区分でした。
この5区分は、6年連続の転出超過となっています。
大阪圏は年齢階級9区分で6年連続の転出超過
大阪圏の年齢5歳階級別転入超過数(2018年、2019年)
年齢5歳階級別にみると、大阪圏で転入超過となっているのは8区分、転出超過となっているは11区分でした。
転入超過数最多の15~19歳(4648人)は、前年比で最も転入超過数が拡大しました。15~19歳が拡大したのは3年ぶりとのことです。
転入超過の8区分のうち、15~19歳および90歳以上の2区分は、6年連続の転入超過となっています。
一方、転出超過数が多いのは25~29歳(3422人)、30~34歳(2204人)、35~39歳(1132人)など。
転出超過の11区分のうち、0~4歳、25~44歳および60~79歳の9区分は、6年連続の転出超過となりました。
名古屋圏で転入超過となっているのは90歳以上のみ
名古屋圏の年齢5歳階級別転入超過数(2018年、2019年)
年齢5歳階級別にみると、名古屋圏で転入超過となっているのは90歳以上(49人)のみです。
転出超過となっているのは18区分となり、転出超過数が多いのは25~29歳(2826人)、30~34歳(2434人)、20~24歳(2269人)など。
前年と比べ、25~29歳(1305人)など13区分で転出超過数が拡大しており、縮小しているのは65~69歳(5人)のみとなっています。
また、20~24歳および75~89歳の4区分は、前年の転入超過から転出超過へ転じました。
20~24歳が転出超過となったのは、日本人および外国人を合わせた数の公表を開始した2014年以降初です。
転出超過の18区分のうち、0~14歳、25~29歳、45~74歳の10区分は、6年連続の転出超過となっています。
上記の図は、東京圏・名古屋圏・大阪圏転入超過数の表示単位が異なる
全国の市町村のうち転入超過は26.2%
転入超過数の多い上位20市町村(2019年)
全国1719市町村(東京都特別区部は1市としてあつかう)のうち、転入超過は450市町村で、全市町村の26.2%となりました(転入超過数0の市町村については転入超過に含まれます)。
転出超過となったのは1269市町村で、全市町村の73.8%です。
転入超過数が多い市町村は、東京都特別区部(6万4176人)、大阪府大阪市(1万3762人)、埼玉県さいたま市(1万1252人)などでした。
ますます東京圏人口一極集中へ
三大都市圏を見ても大阪圏・名古屋圏においては転出が上回っており、東京圏への人口一極集中の傾向はますます強まっているようです。
投資において、東京圏では住宅需要は引き続き堅調でありながら、都心部での競争はより激化していくことが予想されます。
転出超過数が上回っている地域、とくに転出超過市町村においては、物件選別により慎重な判断が求められるでしょう。
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