連帯保証人の極度額はどのようにカウントする?
民法改正によって、連帯保証人の責任が及ぶ金額に「極度額」という上限を設定しなければならないと聞きました。
私のマンションは家賃6万円なのですが、極度額を100万円とした場合、極度額はどのようにカウントするのでしょうか。
連帯保証人が立て替えた金額を累積してカウントしていくことで、極度額を計算していくことになります。
極度額を100万円に設定したとすると、連帯保証人は、賃貸借契約から生じる一切の債務について、100万円を上限として保証する責任が生じます。
賃貸借契約のように継続的な契約から生じる債務については、連帯保証人が立て替えた金額を累積してカウントしていくことで、極度額を計算していくことになります。
今回の相談事例において、賃借人が家賃を3ヵ月分滞納して、それを連帯保証人が立て替えて支払ったとすると、6万円×3ヵ月=18万円を弁済したことになり、100万円-18万円=82万円が残りの上限金額となるのです。
よって、仮に賃借人が毎月滞納したとすると、17ヵ月目には極度額を使い果たしますので、その後は連帯保証人に請求できなくなってしまいます。
極度額をカウントする際の実務上の注意点
連帯保証人に極度額の設定が義務化されたことで、今後は家賃滞納が発生した際に、最終的に誰が家賃を支払ったのか明確にわかるよう記録を残していくことが重要になります。
例えば、連帯保証人にAとBの2名がいた場合、極度額はそれぞれ別にカウントしていくことになるため、家賃が立て替えて入金になった場合は、AとBどちらの連帯保証人が立て替えてくれたのか記録を残していかないと、極度額のカウントができなくなってしまいます。
家賃滞納が発生して連帯保証人に督促した際に、入金管理をわかりやすくするために、賃借人名で家賃を振り込むよう指示を出すケースが多いと思いますが、今後は、誰が家賃を支払っているのかについて、大家や管理会社側で明確に把握しなければならないので、連帯保証人自身の名前で振り込ませるか、帳簿上で誰からの振り込みなのかわかるよう記録をつけていくことが非常に重要です。
また、今後は連帯保証人に立て替えてもらうと極度額の残りが減っていってしまうので、賃借人本人がすぐに支払えそうであれば、賃借人自身に速やかに支払わせたほうがよいかもしれません。
2019/11/02
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー