不動産投資のQA

賃貸経営で発生する家賃滞納や、雨漏り、騒音など…様々なトラブル。対応方法について専門家がお答えします。

空室対策でペットOKにしようと思うが、何か問題はある?

アパート経営をしているのですが、なかなか賃借人が決まらず10部屋中3部屋が空室の状況です。

知り合いに相談したところ「ペット需要」があることを聞いたので、思い切ってペット可物件にしようかと検討しています。

私自身が大家なので、私の判断でペット可にしても問題ないでしょうか?

トラブルを避けるためにも、原則として既存入居者がいる場合については、事前にペット可にすることについて合意をとる必要があります。

ペット可にすることは他の物件との差別化ができるため、空室対策として有効ではありますが、大家の意向でいきなりペット可物件にしてしまうとトラブルになる可能性があるため注意が必要です。

今回の事例の場合、10部屋中7部屋は既存入居者がいて、その人たちは当該物件が「ペット不可」という認識で賃貸借契約を結んでいるので、突然ペット可物件になると次のようなクレームが発生する可能性があります。

  • ペットの鳴き声がうるさい
  • ペットの足音がうるさい
  • 糞尿のにおいが臭い

もともとペットがいないと思って契約している人たちからすれば想定外の状況になるため、上記のようなクレームが起こりえるのです。

また、入居者の中にペットアレルギーの人がいたりすると、居住すること自体に支障が出る可能性も出てくるため深刻なトラブルとなります。

場合によっては引越し費用について損害賠償請求されることもあり得るため、大家とはいえ既存入居者がいる以上、勝手にペット可に変えてしまうことはあまりにハイリスクです。

ペット可にするための事前対策

ペット可物件として募集をする場合については、事前に次のような対策を講じておく必要があります。

  • 既存入居者にペット可物件にすることのアンケート調査をする
  • 既存入居者とペット可物件にすることに同意する書面を交わす
  • ペット用の足洗い場などのスペースを作る
  • ペット飼育のルール(規約)を作成する

今回の事例のようにアパート一棟を所有している大家だとしても、既存入居者がいる場合については上記のように最大限の配慮を以て対応することで、事前にトラブルを予防することができます。

また、区分マンションについてはマンションの「管理規約」のルールに従うことになるため、管理規約にペット不可の記載があれば、ペット可にはできないので注意しましょう。

2020/02/29

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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