不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

今年が消費税の課税事業者。簡易課税の届け出を忘れた。救済策ある?

個人で賃貸経営をしています。2年前に不動産の売却をしたため、今年は消費税の課税事業者になってしまうことを知りました。

簡易課税制度を利用するためには、簡易課税の届け出は、昨年末に出さなければならなかったようです。
今年1年間は、簡易課税制度は利用できないことになるのでしょうか?
救済策はありますか?

簡易課税制度を利用するためには、「消費税簡易課税制度選択届出書」を、その課税期間の開始日の前日までに税務署へ提出する必要があります。

したがって、今年から課税事業者となる場合、昨年末(12月31日)までにこの届け出を提出していなければ、原則として今年は簡易課税制度を利用することはできません。

しかし、課税期間を短縮することで、まだ経過していない期間について簡易課税制度を利用できる可能性があります。

課税期間は、個人事業者については暦年(1月1日~12月31日)ですが、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出することで、消費税についてのみ課税期間を短縮することが可能です。

課税期間を短縮することで、短縮された課税期間の開始日を基準とし、その前日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出していれば、簡易課税制度を適用できるのです。

具体的には「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、3月又は1月ごとに区分した期間に短縮することができます。

適用を受けようとする「短縮に係る課税期間(3月又は1月ごとに区分した期間)」の前日までにこの届出書を提出する必要があります。

例えば、課税期間を3か月(四半期)ごとに短縮する場合、7月~9月、10月~12月のように区切られます。

6月30日までに、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」及び「簡易課税制度選択届出書」を提出することで、7月から簡易課税制度を適用することが可能です。

なお、課税期間を短縮した場合、原則として2年間はこの特例を辞めることができません。
2年間は、期間短縮した期間分(3ヶ月なら3ヶ月に一度)の消費税の申告が必要となりますので、注意してください。

2025/08/22

人口動向・賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは?無料解説書籍はこちら

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧