不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

離れて暮らす子に役員給与を出すことは可能?

会社で賃貸経営をしています。
これから遠方の大学に通う子どもを役員にしようと思っています。
遠方でも給与を払うことは可能でしょうか?
月に1回は実家に戻ってくるので、そのときに物件の見回りや清掃はやらせようと思っています。

遠方でも役員給与を払うことは可能です。

役員給与と従業員給与の違いを理解しておく必要があります。

従業員給与は労働の対価です。
どのような仕事をどのくらいの時間やったかどうかと、給与額が見合っているかどうかが重要になります。

家族従業員の場合、労働よりも給与額が高すぎると税務署に否認される可能性があるのです。

時給設定がされているのか、タイムカードなどの労働時間の記録をつけているかを税務調査では聞かれることがあります。

遠方ですと、物理的に労働ができない可能性があるので、従業員給与として払うことは難しくなります。

一方、役員給与の場合は労働の対価ではありません。そもそも会社との雇用関係ではなく、委任関係にあります。

対価は、会社経営の結果や意思決定に対する責任です。

ですから、会社経営に参画しているかどうかが重要になってきます。

役員会議に参加して意思表示(賛成や反対)をしているか、意見を発言しているかが税務調査では聞かれることがあります。

遠方であっても、オンラインで決議は可能ですし、実家に戻る際に決議をしていれば問題ありません。

ですから、無理に物件の見回りや清掃などをさせなくてもよいと考えます。

家族に給与を払う場合には、従業員としてよりも、役員として支給する方が認めらやすいと言えるでしょう。
ただし、決議に参画していることがわかる役員会議の議事録などを残しておくことが必要になります。

2023/10/06

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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