不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

建物更生共済を個人から法人に名義変更した場合、課税される?

個人の賃貸物件を法人に売却しました。
それにともなって、個人で掛け金を払っていた建物更生共済を法人に名義変更しようと思います。

この場合に税金などかかるのでしょうか?

名義だけを変更すると積立金が個人から法人へ贈与されたこととなり、法人に受贈益として法人税が課税されます。

建物更生共済はJA共済が提供する損害保険です。
火災等だけでなく、地震や台風、豪雨等の自然災害も広く保障し、満期を迎えた際には満期共済金が支払われます。

つまり、積立金があることが、一般的な火災保険などと異なることになります。

この場合に、単純に名義だけを変更してしまうと、積立金が個人から法人に贈与されたことになってしまいます。

法人に贈与した場合には、法人に受贈益として収入計上され、法人税が課税されることになります。
そうならないように、法人が個人から積立金額を購入する(売買)形にすることが一般的です。

この場合の売却金額は、解約返戻金相当額で行うことが通達により規定されています。
売却により利益(所得)が出た場合は、個人に所得税・住民税が課税されます。

利益の計算は、

解約返戻金相当額-資産計上金額(支払った共済金-経費計上した共済金)=所得

になります。

この場合の所得は、一時所得に該当します。

使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額により評価する。
所得税基本通達 36-37 保険契約等に関する権利の評価(抜粋)

2021/05/15

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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