不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

団体信用生命保険の代わりに加入した生命保険料は経費になる?

昨年から物件を買いすすめています。
すでに団信(団体信用生命保険)が付いている融資を受けており、新しい物件を購入する際には団信の上限超過のため、団信が付けられませんでした。
しかし、実質的な融資条件として生命保険に加入させられています。

この場合の生命保険料は経費計上することは可能でしょうか?
書類上は融資条件になっておりませんが、生命保険を締結しなければ、融資できないようになっています
受取人は、配偶者になっていますが、契約日は契約締結日に近く、保険募集人は銀行となっています。

条件を満たせば経費になりますが、満たしていない場合は経費計上は難しいと考えます。

団体信用生命保険とは、借入金の返済途中で、債務者が死亡または所定の状態になってしまった場合に、生命保険会社が代わりに借入金を弁済してくれることで、相続人などに債務が承継されなくなる仕組みです。
金融機関にとっては、借り入れた方に万一があった場合の担保として、生命保険に加入してもらうという趣旨になります。

この場合の生命保険料ですが、下記の要件を満たすものであれば、必要経費に計上することができます。

(1)生命保険契約が、融資を受ける条件として締結されたものであること
(2)保険金は、金融機関が受取人としていることにより、保険金が債務の弁済にあてられることが担保されていること

本事例の場合、担保にもなっておらず、受取人が配偶者であれば、相続放棄をして、債務を引き継がず、かつ、配偶者が保険金だけ受け取るということも可能ではあります

そうであれば、実質的に団体信用生命保険とはならないのではないか、つまり、経費計上するのは難しいものと考えられます。
なお、生命保険料控除での所得控除は受けられます

2018/09/09

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧