不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

法人で2棟目を購入する場合、消費税還付を行うことはできる?

法人で1棟目を購入して賃貸しています。

そのときは、消費税還付をしませんでした。

今回、2棟目の融資が通りそうなので、2棟目は消費税還付をしたいと考えています。

消費税還付は可能でしょうか?

ハードルはかなり高いですが理論上は可能です。

結論から申し上げますと、還付は理論上は可能ですが、かなりハードルが高いものと考えます。

消費税還付を行うには

消費税還付を行うには、消費税の課税事業者になっていなければなりません。

そのためには、建物の引き渡しを受ける期の前までに、「消費税の課税事業者選択届出書」の提出をする必要があります。

さらに、引き渡しを受ける期の課税売上割合を95%以上にしないと、建物に係る消費税を全額還付できません。

つまり、非課税売上の19倍の課税売上を上げる必要があります。

非課税売上は、住宅の家賃になりますので、2棟目の家賃収入をできる限り入れないことは、決算期を調整するなどしてできますが、1棟目の家賃収入はすでに発生しています。

その家賃収入の19倍の課税売上は、かなりの金額になるのではないでしょうか。

さらに、3年間の通算の課税売上割合を50%以上としないと、3年後に還付を受けた消費税を取り戻されることになります。

ここでも1棟目の家賃収入が影響してきます。

課税売上を相当金額、上げ続けなければならないことになり、ハードルは高くなります。

したがって、消費税還付するなら1物件1法人が基本になります。

金の売買について

現在、金の売買は課税売上と認められておりますが、今後の改正によって、課税売上と認められなくなる可能性があります。

実際に改正意見として、国税庁より発表がありました。

「課税売上割合の計算に含めると事業者の事業実態からかい離することとなる場合には,当該資産の譲渡に係る売上高を課税売上割合の計算から除外する。

若しくは,事業者が算出した課税売上割合が事業実態からかい離する課税売上割合と認められる場合の事後的否認規定を措置する。」

これはあくまでも意見であり、実際に改正されるかどうかはわかりませんが、金の売買による課税売上が認められなくなる可能性があります。

加えて、事後的否認規定を措置されると、過去に遡って否認できることになります。

したがって、今後、金の売買による課税売上を上げるのであれば、年内に実行する方がよいかと考えます(年内に実行すれば、確実に課税売上になることを保証するものではありません)。

2019/11/17

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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